流行も何回りかすれば

歌劇・グラフ

先月ムラで買ってきた『歌劇』。昭和44年6月号です。40年前の本か!
表紙は甲にしきさん。
定価160円というのが当時の物価を思わせます。ちなみに送料12円也。

半分ネタで買ったんですが、すげー面白かったです。

流行も何回りかすれば

まずね、巻頭ポートの服がすっごいかわいいのよ。特に娘役さん。

もちろんレトロなんだけど、流行はめぐるというとおり、今でも着れるんじゃない? と思うような服をお召しです。
男役さんもスカートだったりしてびっくりさせられますが(そうじゃない人もいる)、とにかく服がかわいい。でもって粋な感じ。

そして載っている人が鳳蘭様だったり安奈淳様だったり初風諄様だったりして、なんというベルばら! な世界です。
なんとなく「様」付けしなくちゃならんような気持ちになる。

巻頭ポートに2ショット写真があるのもいい。
これ今でもやってくれないかなぁ。
摩耶明美さんが激カワです。

当時のことはまったくといってよいほどわからないんですが、公演プログラムは出てなかったんでしょうか。(脚本集はあったもよう)
6月公演(回転木馬)のスチール写真っぽいものが出てます。
男役8名に娘役5名。娘役率がけっこう高いのは今より娘役の扱いがよかったってことかな。

えと文、楽屋日記のほかにも随筆(雨の季節に…)がある。こちらはかなり真面目に書いてます。

あと美吉野さん、岸さん、笹さんの文章も。
岸さんのはかなり長い間連載していて書籍になったのをよんだことがあるから、彼女らは連載をもっていた方たちなのかな。
『歌劇』ってほんとに文字率が高かったのねぇ。

文章自体もちょっと昔風。
特に繰り返しを示す縦書きの「〱」(←機種依存文字なんだけどちゃんと出るかなー、ひらがなの「く」を長くしたようなの)が多用されてるところに時代を感じます。
表現も「サッカリンより甘いと言われる子煩悩な父」とかね。サッカリンってなにかわからない人がいると思う(かくいう私もはっきりとわかってるわけじゃない)。

ジェンヌさんだけでなくファンの方も。
「歌劇詩壇」――スターさんに捧げる愛の詩。やばい、びびりつつも感動してしまう。

ふと数えたら「高声低声」が13ページもありました。
フォントも今より小さいため、ものすごい量が載っていることになります。
しかも「歌はヘタ」とか「○○さんこそ芝居の勉強をしなければならない人なのに」とか、けっこうはっきり書かれてます。
ファンが熱かったというべきか、編集部(劇団?)のふところが広かったのか。

そしてのどかな時代だったのよねー、と思わせるご家族コーナー「母と娘と」――ジェンヌさんとお母君が載ってます。お母君はふつうに本名で。
こういう場で和服を着ておられるというのがこれまた時代であります。
しかし、舞台メイクした娘とよそいきであろう和服のお母さんの2ショットってけっこうすごいものが…。

それのみならず「お部屋拝見」に「家庭訪問」。
ふつうにご自宅の写真が出てます。
その気になったら自宅をつきとめられそうでヒヤヒヤします。

つくづくと面白いです。
本自体の基本仕様は変わってないんだけどそれでも時代性があって。
また見つけたら買ってこよう。

《追記》

漢字変換ミスのご指摘ありがとうございました。訂正しました。

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