文春オンライン(週刊文春)に宝塚歌劇団の(元)演出家・原田諒氏の異動処分が報じられました。
(雑誌は明日12月28日発売)
異動の理由は同氏が(元)演出助手やタカラジェンヌにセクハラ・モラハラをしていたため。
劇団は性被害を受けていた元演出助手側に働きかけてもみ消しを図ろうとするもかなわず、原田氏は『蒼穹の昴』東京公演中に阪急電鉄に異動となったそう。
『蒼穹の昴』のときにはすでに原田氏のハラスメントは問題になり、劇場へは出入り禁止に。
作・演出をした人が出禁というのはなかなかにすごい。
劇団としては身内の恥を表に出したくなくてもみ消しをはかるも失敗、東京千秋楽までは公開を待ってもらったという感じでしょうか。
報じられたのが千秋楽後のこのタイミングというのは、文春のせめてもの温情? それとも阪急側とのなんらかの交渉によるものかしら。
文春で報じられた内容がどこまでが本当かはわかりませんが、いかにもありそうなことだと思います。
原田氏のモラハラは噂で聞いたこともありましたし。
(退団済みの某娘役さんの話とか)
そもそも演出家と出演者という関係はどうしても役付きの良し悪しや出番の有無などに影響する権力構造の中にあります。
さらに昔から宝塚歌劇は演出家=先生、出演者=生徒という垂直関係を強化するかたちを宝塚音楽学校卒業後も手放していません。(だから「予科」「本科」「研究科」なのでしょう)
だから「ハラスメントではなく指導」「指導を通じて芸の向上と人格の陶冶を行う」「指導に耐えられないなら退団」という流れにならざるを得ないのではないか……という気がします。
ハラスメントと指導の境界のあいまいさも理由の一つになるでしょうか。
歌劇団内でのセクハラ・パワハラは今に始まったことではなく、今回のは氷山の一角にすぎないのではないかと思います。
セクハラに関してはすでに故人となった大物作曲家の話を読んだことがあります。
私がヅカファンになる前の話ですが、知ったときは暗澹たる気持ちになりました。
(だからあの人が殿堂入りしてるのはどうかと思う)
そりゃ「清く正しく美しく」はスローガンにすぎず、中ではいろいろあるだろうとは思っていてもね。
パワハラについては、外野である私から見て「それはパワハラでは……?」と思わずにいられない指導を行っている演出家もいますよね。原田氏以外にも、少なくとも何名かは。
『歌劇』『宝塚GRAPH』といった雑誌、スカステの番組などでもときどき出てきます。
ジェンヌさんが笑いのネタにすることもあれば、辛い思い出だけれど自分を成長させてくれた……みたいに昇華させることもあり。
ただ、被害を蒙った側が「いい話」にしたところで、加害者の罪(とあえて言う)をないものとするのは違うのではないかと思います。
このような状況を放置した(あるいは現にしている)劇団には問題がありますが、元演出助手氏の勇気ある告発なしでは明るみに出なかったのだろうなと感じます。
どの組織も、自浄作用を持つのは難しい。
告発する側も、自分の劇団でのポジションを確保できるとは限らない(というよりほぼ無理だろう)から告発しづらい。
どうしても退職・退団を念頭に入れた上で……ということになりがち。
また、いじめ問題などと同じく被害者の尊厳の問題もある。自分のことだけではなく、なので余計に。
劇団が夢の世界を標榜するなら、楽しいだけではない血と汗と涙の場所であったとしても、生徒さんの安全は確保してほしい。そうでないとこちらも夢を見れない。
必要のない犠牲や搾取のもとにできたものを喜んで受け取ったりお金を払ったりしたくないのですよ。
感動した気持ちに水を差されたくもないのですよ。
原田氏のハラスメントが文春で報じられたのは決していい話ではないですが、劇団はこれを機にクリーンな存在に近づいてほしいものです。
コメント