柚香版『うたかたの恋』感想・1

2023-01-06花組公演感想,花組

かれーちゃん主演の花組大劇場公演『うたかたの恋』初日を観てきました。
2023年1月1日13時公演、おめでたいったらありゃしない!

『うたかたの恋』は柴田先生の名作ですが、今回は小柳センセイが潤色・演出で入っておられます。
現代の女性が手掛けることでどのような作品になるのか……と期待していました。
ちゃんと令和の『うたかたの恋』になってましたね。
(といって、私たぶん『うたかたの恋』をDVDでオサ版を見たくらいのような気がする、それもかなり前に……だから比較があやふやなのはすいません)

れいまど版はロマンチックで美しいだけでなく、退廃的で耽美な『うたかたの恋』でした。
ポスターイメージのハプスブルク家や、政治的に追い詰められていく感じがていねいに書き込まれていて、見ごたえの増した作品になっていました。
かれーちゃんは繊細な皇太子・ルドルフがとても似合い、儚さと、底にある狂気に死へ向かう必然性が強く感じました。
机の上の髑髏にピストル、そしてマリーと離されて自らに銃を向けるルドルフですから。
マリーが精神的な支柱であるかのよう。

話の大枠は同じ、楽曲がいくらか増えて、テンポ感はアップ。
それと『うたかたの恋』といえばコレ!というこっぱずかしい場面も変更が入ってましたね。

大きなところではまずルドルフがマリーに指輪を渡すところ。
「私たちのあの日」が彫られた指輪ではなく、「死の後までも愛によりて永遠に結ばれん」みたいな言葉が彫られた指輪になっていました。
初めてルドルフがマリーを抱くのがもっと後のことになるので時系列も変わりました。

それとかくれんぼのところも大幅に短縮。
「もういいかい」「まだでございます」みたいなまどろっこしいのはスパッとカットして、マリーが隠れるところをさくっと。
テーブル下に隠れたマリーを探したルドルフ、テーブルクロスをそっとめくるところは非常にいけないものを見ている気になりました。スカートめくりじゃないんだけどさ。

初演がおよそ40年前で、名作といえども現代では少々タルく辛いところがあったものを、令和のテンポ感や人間の描き方になってるのはさすが小柳センセイでした。
この調子でベルばらも令和バージョンにならないかなぁ。

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