『MESSIAH』感想・2

花組

花組大劇場公演『MESSIAH(メサイア) −異聞・天草四郎−』7月15日(日)11時公演に続き、16日(月・祝)13時公演を観てきました。

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前の記事でも書きましたが、かれーちゃんの演技が好きです。

山田祐庵は南蛮絵師。島原の乱の唯一の生き残りである。
江戸城奥書院で、徳川家綱に請われた彼が島原の乱の真実を話し始めるところから話はスタート。
夜叉王丸=天草四郎らの起こした戦が語られ、家綱にかれらの生きた証を残せと言われた山田祐庵が「はらいそ」(=天国)の幻を見るところで芝居は終わる。

かれーちゃんは山田祐庵としての江戸住みのころと、洗礼名であるリノと呼ばれる山田右衛門作としての時代の2つを生きる。
この江戸での芝居がことにいいんです。

祐庵は口数が多い男ではない。というか、将軍に拝謁して思うままにペラペラと話せるような立場にない。
身分上も平伏することが多く、あの美しい顔をじっと伏せている時間も長い。

それなのに、美しい。
島原の乱のなかをただ一人死ぬこともかなわず、侘びた風情を身にまといながら静かに生きてきた男の魂を感じる。

体の動きで芝居ができるのもかれーちゃんの特長。
所作が美しいってのはこういうことを言うんだろうな。所作が美しいからあの広い舞台を埋められるし、感情も的確に伝わる。
ゆっくりと上げた顔、おもむろに伸ばした腰などの動きがいかにも舞踊のごとき舞台芸術で、かつきちんと「芝居」の体を為している。
山田祐庵としての枯れも感じさせつつ、顔を伏せることが多くてもかき消されない華があるのがまたすごい。

島原時代の、リノと呼ばれた山田右衛門作のほうがかれーちゃん本人のイメージに近いけれど、実際に演じたときに役者としての凄みを感じるのは山田祐庵のほうだな。
いい芝居を見ました。

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花組

Posted by hanazononiyukigamau