ことなこ版ロミジュリBパターンを見たんだ・2

星組公演感想,星組

・主人公・ロミオのこっちゃん。

モンタギューの跡取りとして自覚が足りないとあかさんベンヴォーリオにつっこまれてるとおり(『歌劇』座談会の話)、
ふわふわなお坊ちゃんです。
詩人っぽくて、あまり生活力はなさそう。
神父様にじゃれるときなどは仔犬っぽさもある。
マントヴァへ追放されて、実家からの仕送り頼りになりそうな雰囲気があります。

モンタギューとキャピュレットの争いに居合わせなかったロミオは「僕がいたらみんなを止めたのに」と言ってたけど、
ぜったいこのロミオじゃ止められないと思う。

こっちゃんのこういう役作りは意外でした。
8年前の新公の記憶もまだあるだけに、こう作ってきたか!と驚きました。
新公当時は、わりとこれまでのイメージどおり、温和さと積極性を併せ持つロミオだったので。
新公に比べて、ロミオ自体の年齢は上がった気がするけど、性格はふわふわお天気に。

今回のロミオは「え、これまで遊びで付き合った女の子いるんだ?」みたいな感じでした。
きっと「遊び」っていわゆる女遊びじゃないんだろうなと思えて。
よくジュリエットのバルコニーに向かう積極性があったなー。
いきなり春が来て、頭、舞い上がっちゃったんだろうな。

詩人ぽいふわっとした性質なので、「僕は怖い」の繊細さはすんなり腑に落ちました。
そりゃー愛ちゃんの死に余裕で取り込まれるわ。

軽々と歌う歌声はやはり魅力。
演じながら、踊りながらでも難しさをまったく感じさせないものね。

・ヒロイン・ジュリエットのひっとん。
こちらも予想外のキャラクター設定でした。

これまでのジュリエットって深層のご令嬢で、「親に口ごたえしたことない」「なにも知らない16の乙女」という言葉をキーに作られてた気がします。
純粋さ、愛する心、真っ白なヒロインという、宝塚娘役の王道です。

でもひっとんのジュリエットはこれまでのジュリエットより夢見る女の子っぽさは薄い。
「親には口ごたえしたことない」って嘘やろ。
いや、本人の意識では口ごたえしてないのかも。傍目にはそうじゃないだけで。
あるいは、親には口ごたえしてないけど乳母には好き放題かな。

現代っ子でギャルっぽいジュリエット。
真っ白いふわふわした部分をなくした代わりに、ガッと物語を動かしてくちからが出ていました。
愛する人と結婚したいジュリエットだから、待ちの姿勢じゃないんですよね。
真っ白ふわふわ属性は受け身なロミオに投げて、ジュリエットは走っていきます。
ジュリエットが爆走系のキャラになってるから、ロミオは受け身でいいんですよね。面白い組み合わせです。

これまでのジュリエットがベビーピンク系だとしたら、ひっとんのはショッキングピンクかサーモンピンクかくらいの違いがありました。

定型的なヒロインらしさを減らしたので、バルコニーのシーンも面白いんですよね。
ジュリエットを探しにきた乳母に「今行くわ」と答えるところ。
「どうしよう、バレちゃう」という恐れの気持ちじゃなくて、「愛するロミオとの時間を邪魔すんなボケェ!」みたいな気持ちがにじみ出てました。
3回目には返事に完全に怒りがこもってたものね。

バルコニーでのキスシーンも、手の動きがあやしくて(笑)。
「う、うおおおお」みたいな心の声が聞こえるような、変な動き。こんなんありか。

伝統的な可憐さを伝える演技はほとんど封じているのに、でも可愛いんですよね。
めっちゃ可愛い。
「時代は変わったわぁ……」なんて年寄りくさいことも思ってしまったけど。

・さてことなこコンビといえば、たぶん一番の売りはダンス。
デュエットダンスが相変わらずすごかった。

劇中のものもよかったけど、びびったのはフィナーレのデュエダン。
動きがキレすぎてなんだかわけがわからない。振り数とかめっちゃ多そう……。
本来フレンチミューなのに、スパニッシュアレンジの「エメ」でデュエットダンスを踊るというカオスっぷりはさておき、ダンスがかっこよすぎてなぁ。
上まで持ち上げる系のリフトとか、わけがわからないよ!

「なんかわかんないけどすごいもん見た」という感想しかないです。
ぶっちゃけ、なにやってたか覚えてません。テンポ早すぎて。
なので、もう1回ちゃんと観たいです。

16