星ロミジュリ新公感想・3

2021-01-31星組公演感想,星組

あいかわらず誉めてない新公感想。
(くどくてすいません)
読みたくない人は回避して下さい。

今回の主役・ロミオは研5の礼くん。
アナウンス後の拍手の大きさにその期待の大きさとファンの喜びが感じられました。

本公演でのベンヴォーリオはその外見年齢(と、演技の幼さ)ゆえに合っていなかったけれど、そのぶん若者役であるロミオに期待する気持ちはありました。
歌もうまいし。

で、実際みてきての感想。

期待どおり、歌は素晴らしかったです。
本公演の役替わりをやりつつ新公の練習もやって大変だっただろうなぁ。

ビジュアルは若者らしく美しいものでした。
ただし、ロミオ=15歳って感じ。
そういやベンヴォーリオも15歳くらいに見えたし、ついでに言えばめぐ会いⅡのルーチェも15歳だったっけな…?

礼くんのロミオに感じたのは「全能感」。
実際にロミオが全能の人だというのではなくて、「ここは俺の世界」「俺ならなんでもできる」とナチュラルに思ってそうなロミオだな、と。
具体的な理由はありません。ただ、そう感じたというだけの話です。

そういう全能感にあふれた人だからというかなんというか、バルコニーの場面はけっこう肉食系でしたね。
わりとざくざく階段をのぼっていって、ジュリエットにキスするのも当然(2人の動きは手慣れてない部分があったし段取り感もあったけど)、ジュリエットからバラを受け取るのも当然……みたいな。

ジュリエットを愛している理由は「ジュリエットだから」「運命の出会いだから」とかいう感じじゃなくて、「俺のジュリエットだから」という感じがしました。

ついでに言えばヴェローナの街での諍いを憂う理由は「俺の望む世界を壊されるのがイヤだから」って感じです。
なにごとにもアタマに「俺の」がつく感じがするのが礼ロミオクオリティー。

この新公全体がそうなんですが、あんまり他者への視線が感じられない。
彼らが相手をどう思っていて……という部分が弱い。
感情があるとしても「俺はこう思う」という主語の部分が強くて、相手への思いやりに欠ける。なんだか登場人物の視野が狭い。
(若者っぽいといえば若者っぽいけど、問題は大人メンバーもそうだっていうこと。みていて疲れる)

もちろんそれは欠点なんですが、それが反転して「是」と出たのが「僕は怖い」のリプライズ。

ロミオが自分の世界にのめりこんでいって、怖い怖い怖い。
ザッツマイワールド。
自分の世界が崩壊していく、それはもちろん誰にとっても怖いものなんだけれど、全能感にあふれていた彼ならば全てが失われていく感覚は格別の恐怖だったろうなと思いました。

1