月組全国ツアー公演『琥珀色の雨にぬれて』を観てきました。
8月24日(土)16:30からの梅田芸術劇場での公演です。
再演を何度かしている作品だけに、出演者によって違ってみえるのも面白いところ。
前回、2017年の雪組版では主人公・クロードを演じるだいもんがいっそ露悪的とも思えるほどに純粋さと愚かさを出しているように思えました。「お坊ちゃん」としての演技ですね。
今回の月組版では、ちなつのクロードはだいもん版よりは宝塚らしい造形。
現代の女性視点ではクロードという人物の性格上どうしても酷さはありますが、宝塚の男役的なかっこよさもきちんと見せる。
それでいて、シャロンやルイたちとは違う世界の住人としての演技がわかりやすかったです。
このたびトップコンビのプレお披露目をしているちなつは92期生、研究科19年目。
月組生まれ月組育ちですが花組経験もある、実力と色気にあふれた男役です。
ゆえに、「ボンボン」よりはルイのような「ジゴロ」のほうが似合います。
しかし、シャロンと話すときのちょっとした視線のずらし方やセリフの間でシャロンに対する緊張や高揚を見せる。
フォンテンブローの森でのシャロンとの出会いに始まり、シャロンを思い出してのミッシェルやフランソワーズとの少しコミカルなやりとり、そして列車の展望台でのシャロンとのマジョレ湖の話。
あえてぎこちなさを出すことで生真面目なクロードとしての役を生きた。
そう、クロードは生真面目なまま大人になったから、女の扱いがわからない。
女が追ってきたら/走り去ったらどうするべきか、遊び方も切り上げどきもわからない。
ときには自分が悪者になってでも……というところはない。
真っすぐであれば、心底惚れていれば、相手に誠実というものではない。
悪い意味で「善良」で、でもどうしようもない愚かな大人の恋だ。
クロードとシャロンが大人の恋に見えるのは、やはりちなつのかっこよさゆえなんだと思う。
シャロンを「妖精のようだ」と崇拝して遠慮も見せてたのに、最後には「抱きたい」とか言い出すからこの人は……!
トレンチコートもハットも後ろ姿もすべてがかっこよすぎるんだわ。
それはそうと、毎回のことだけどミッシェルは「僕はさばけた男だよ☆」とか言ってないでクロードをぶん殴ってほしい。妹・フランソワーズのために。
そしてクロードは妻も仕事も全部なくせばいいと思う。
でも1922年ごろが舞台(100年ちょっと前か!)だから、そういうのないんでしょうね。
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