月組全国ツアー公演『琥珀色の雨にぬれて』の感想の続き。
8月24日(土)16:30に1回だけ梅芸で観ました。
トップ娘役に就任したあましがシャロンを演じます。
体格的な大きさも含めた華やかさで、人に囲まれるマヌカンらしさがありました。
それでいて声や所作の美しさによる繊細な儚さを備えたシャロンでした。
まず、登場時のシャロンは歌うような台詞廻しが美しい。
少し人間離れしていて「妖精のようだ」とクロードが評するのも納得。
ここでちゃんとクロードが恋するシャロン、を見せてくれるのでストーリーに入り込みやすかったですね。
専科のマイティーが演じるルイもまた、『琥珀色』の世界をきっちりとかたどります。
かっこよさ、隙のなさ、華やかさと色香にダンスの巧みさが完成に近いジゴロのありようとして納得させてくれる。
といっても大多数のヅカファン同様、実際にジゴロを見たことなんてないんですけどね。
シャロンもルイも、その完成された美しさと余裕ゆえに、同じ世界で生まれ育ってきたのがわかる。
お坊ちゃんのクロードのように人には弱みや隙を見せないんですよね。
マイティーのルイは青列車に乗るときクロードに金を出させるんだけど、普段から人の金で生きてる雰囲気が出てる。
メランコリックジゴロを少し思い出した。もちろん全然方向性は違うんですけどね。
若手が多い全国ツアーながら、月組男役が演じるジゴロたちは素敵でした。
しゅりんぷ演じるギィがすごくいいんですよね。
セリフは多くないけど、同期のわかが演じるローランとのやり取りなどでギラギラしてプライド高そうなところも見せる。ギィは絶対に美意識高い。上昇志向も強い。
どこだったかでローランの連れてる女性にも流し目送ってたよね。
ギィとローランは単なるホストの同僚という以上のなにかがあってほしい。なんか設定作っててほしい。
ホテルのロビーの場面かどこかではやや後ろ向きの横顔が美しくてひたすら愛でた。
うーちゃんが演じるアルベールがかっこいいのはスタイルももちろんのこと、男役としての経験値もあるよね。
花屋のシャルル・ドゥ・ノアーユ子爵のるねが元ジゴロというのも納得の配役。
一線は退いたとはいえ、華やかさと人を見る目の確かさ、かつての自分と同じ境遇の若者たちへ送る視線の温かさがいい。
2番手娘役ポジションのフランソワーズにはりりちゃん。
歌声の美しさは特筆すべきもので、演技も確かな実力派娘役です。
私はフランソワーズがめちゃくちゃ苦手なので、はっきり言って怖い。
これはりりちゃんがどうこうというより役の問題ですよね。
クロードとシャロンの関係が進展するかもというときにピンポイントで現れる。女の勘がすごい。
そして地味で大人しい雰囲気なのに、シャロンに言うことはきっちり言う。
そう、シャロンに言うんですよ。
クロードには言わない。
「人間って悲しいわね」――別れるとか別れないとか、そういう決断はしないんですよ。ただクロードの心を揺さぶる。
クロードとの婚約時代からタンゴも習い、青列車に乗ったクロードを追って何時間もかけて車を飛ばす。
なにげに活動的で行動的なのに、雰囲気だけは楚々としている。
あくまでクロードに決定権をゆだね、いじらしくクロードを待つ。
なんか底が見えなくて、それが怖いんだよな。
コメント