研1がヒロインを演じるということ

雪組

以下、研1が本公演のヒロインをすることについて、言いたいことを述べていこうと思います。
(※注意――きっと長くなります)

先に断っておきますが、私は夢華嬢の新公を観ていません。

大劇場ではもちろんのこと、スカステや動画サイトにおいてすら観ていません。
ネット上にあがっている写真すらろくに見ていません。
なので、以下に述べることは彼女本人の技量や資質(外見を含めて)がどうであるかに関わらないことである――と、思ってください。

彼女が予科生時代にしたとされていること(あるいはせざるを得なかったであろうこと)ゆえに既に悪評持ちであることに言うまでもなく私はとらわれていますが、それを横に置いたうえで、「ただの研1が本公演でヒロインを演じる」――このことについて論じたいと思っています。

まぁ「論じる」などという、きちんとしたものになるかどうかはわかりませんが。
ムカつきと脱力で脳は普通の状態じゃないだろうし。
気分や情を排してモノを考えるというのはむつかしいことだし。
予断と偏見は排しようと思っているが、排しきれているかどうかは自分では判断できないし。
だいいち、「ただの研1」が「本公演でヒロインを演じる」ことなんてとうていあるとは思えないんでさ。

さて、研1が本公演でヒロインを演じることの最大の問題点は、娘役を全否定しかねないことだと思う。
(おお、我ながら偉そう)

劇団もわかっているはずだが、娘役というのは特殊技能。
ただの女優ではない。
たとえ非常に演技力に優れていて、芝居勘のある女の子がいたとしても、それだけで宝塚の舞台にヒロインとして立つことはできない。

おおざっぱに言って、ワンサとヒロインの最大の差は舞台上で恋愛をするかどうか。
すなわち男役との絡みがあり、舞台上で性差を作りださねばならない。

いうまでもなく相手は生身の女性である。
普通に演技しただけではそこに性差を生みだすことは困難で、恋愛劇が不自然なものになる。
虚構が成立しない。

本来はない性差を舞台上に生みだすのが第一に男役芸であることは言をまたないが、それも娘役芸あっての話である。
娘役としての技量なくして男役との恋愛劇を自然に見せることなどできない。

その娘役芸は一朝一夕に身につくものではない。
歩き方、視線や手の角度、ドレスさばき、相手によっては膝折――。
そして鬘やアクセサリーの選び方、自分の見せ方、ありとあらゆるものがそこでは必要になる。

それを得るには先輩からの指導と日々の研鑽によらねばならない。
伝統と努力。
長年つちかわれてきた宝塚の美徳とされてきたものである。
宝塚の宝塚たるゆえんとされてきたものでもある。

研1を抜擢しヒロインに据えたというのは、それを放棄したということだ。
練習の場である新人公演や、実験性や若手の鍛錬の意味合いをもつバウ公演ならいざしらず、本公演でヒロインを演じさせるということは、「その程度で」いいと劇団が言ったに他ならない。

つまり、娘役芸は一朝一夕でそれなりになるものである、とした。
あるいは、娘役芸なしでも宝塚の舞台は成り立つものである、とした。

どちらの意味合いであるにせよ、劇団は娘役芸を安売りしたということだ。

さて、矛盾するようであるが、私は娘役芸というものを完全に信じているわけではない。

信じているか否か――というのも変な話だろうが、私は芝居をしたこともないし、自分にさほど芝居を見る目があるとも思っていない。
(それなのに毎公演毎公演わかったかのように感想を書いているのは私の性格の図々しさゆえとお許し願いたい)
なので、上に書いた娘役芸うんぬんはほとんどが先輩ファンなどからの受け売りである。もちろん自分なりに咀嚼してはいるが。

さてここで、「娘役芸」などというものが、喧伝されているほどのものではない――と仮定する。
その場合、ヒロインを演じるのが研1でも問題はないかといえば、答えは否である。

なぜなら、劇団がそれを売りにしてきたからだ。

実態があるにせよないにせよ、伝家の宝刀のごとく、劇団は「娘役芸」というものを扱ってきた。
男役芸ほどわかりやすくはないため、対外的にはほとんど意味をなさないにせよ、少なくとも宝塚ファンという枠の中では一定の意味を持たせてきた。
それを放棄した。

そしてまた仮に、夢華嬢自身がほぼ先天的に娘役芸の持ち主であるとしたら――。
その場合、舞台が成立するだけ話は多少マシである。
とはいえ、日々の研鑽や伝統的な申し伝えによらずとも娘役は成り立つ、という意味で、「娘役芸」の価値は下がりかねない。

――さて、くだくだしく研1がヒロインを(それも大劇場で)演じることの問題点を論じてみたが、それもこれも簡単な話気に食わなかっただけのことである。
ただ「気に食わない」だけじゃサマにならなさそうなので、ある程度もっともらしく形を整えてみただけのことである。

彼女自身もしくは彼女の抜擢が反感を買っている理由が、例の裁判に端を発している人、あからさますぎるコネ(だよね?)による人、あるいはただ単に上級生をさしおいて海のものとも山のものともつかぬ下級生を抜擢したことへの不信感による人などさまざまなことと思う。

しかしいずれにしても「不快」、これに変わりはない。

感情的なものであるが、公演を観るのも観ないのも、彼女を応援するのも敵視するのも、これほど強い動機もない。

本来味方であるべきファンを不快にし、敵にまわすがごとき人事政策をとった劇団の考えは理解しがたい。
ファンを続けるかどうかを試されている気分で、――やはり、不愉快だ。

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雪組

Posted by hanazononiyukigamau