『パルムの僧院』感想・2
※以下、ほぼ文句※
主人公は咲奈演じる「ファブリス・デル・ドンゴ」。
この男にむかついて仕方ない話でした。
ジーナたちの忠告を無視してエルネスト4世の不興をかうわ、あっさり罠にかかって女(マリエッタ)と逃げるわ、ファルネーゼ牢獄では立場をわきまえないふるまいをするわ、毒殺の危機から脱獄させてもらうも愛する女(クレリア)恋しさに戻ってつかまるわ、死刑の宣告を受けたファブリスを逃がすためにフェランテは死ぬわ、聖職者になっても人妻(クレリア)に手紙を送り続けてるわ、しかも会いにいくわ。
なんなんだよおめーは!!
「真実の愛に生きる」「気高い」「高潔な」と言葉を飾ったところで、ただの迷惑な男にすぎません。
『パルムの僧院』を基にした『情熱のバルセロナ』で水さんが演じていたフランシスコもたいがいでしたが、ファブリスはその比じゃありません。
1幕は「こいつバカwwwww」とまだ笑えたからよかったんですが、2幕はどんどん腹が立ってきたからな……。
笑えるバカはまだいいですが、ムカつくバカはいけません。
ファブリス、愛にまっしぐらです。
愛しか目に入ってません。享楽的です。
こんなのが聖職者でいいんでしょうかとつっこみたいくらいです。
めちゃくちゃ明るいです。
ドロドロした話にはエロい男がつきもののはずなのに、咲奈だからあんまり暗い色気はございません(少なくとも私には色気が感じられん)。
それがいいんだか悪いんだか。
重くなる話が咲奈の明るさで軽く仕上がってるように見えます。
ファブリスさんはモテモテです。
ナポリの神学校を首席だか次席だかで卒業しますが、どうも女遊びはそれなりになさっていたっぽい。
でも演じてるのが咲奈なので、そういう設定であっても「あ、そうなの?」とピンときません。
女を手玉にとってたというよりは、明るく楽しくピクニックに行ってそうなんだもん……。
なので、4年の時を経て帰ってきた甥に「男」を感じる叔母・ジーナというのにもピンとこなかったりします。
設定に文句を言ってもはじまらないんですが……。
ただ、明るくアホの子なので、牢獄に入っても可愛い女の子が見られれば幸せというところは妙に納得します。
その後いろいろあって、脱獄したり、死にかけたり、友人が亡くなったり……。
牢獄でむしばまれた身体をおして聖職者として生きることになったファブリスを市井の女性たちは気高いのなんのとはやします。
が、それはそうとファブリスさんはまだクレリアのことを忘れてません。
相手は人妻だというのに。
そしてある日呼び出されてちゃんと出かけていきます。
物語上、この行動とファブリスの気高さに矛盾はないようです。びっくり――――。
あらゆる女性に去られたファブリスさんは、もともと身体を悪くしていたこともあって結局亡くなるんですが、ジーナさんによれば「あの子の人生は苦難の連続」だったそうです。
まぁそう言えなくもないけど、ほぼ本人自らが招いたことだからねぇ。
社会情勢に問題はあったとしてもあんまり同意も共感もできない。
周囲の人々のファブリス評の甘さにもびびることしきりですが、恐ろしいのはファブリス本人もそう自覚しているというところです。
つまり、自分の人生は苦難の連続だった、と。
無反省の極み。
誰のせいでフェランテが死んだと……。
ていうか、羨ましいほど自己評価高いなこの人。
とまぁ、こんな主人公なので見ていて腹立つことこの上なかったですよ。
繰り返しますが、笑えるバカはまだいいですが、ムカつくバカはいけません。
野口センセイ、なんでこの話をやろうと思ったんだ。
周囲がファブリスをアホみたいに持ちあげなければまだマシだったんだけど、そうされるたびどんどんこっちは冷めていくのですわ。
キツかったなぁ。
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