みわっちの韓信は熱さと賢さと優しさのある役。
スーパーヒーローのような性格を持っている。
股くぐりによって愚かな民衆から後ろ指をさされながらも無用の争いを避けて桃娘を救うんだ。
だいもん演じる桃娘とのコンビはなんだかかわいらしい。
しかし組内女装専科みたいだったみわっちが、他の男役を娘役にまわしてラブシーンを演じるようになるとは…!
みわっちに近づくにつれてどんどん身長がちぢんでいくだいもんが愛おしかったです。
がんばれ、だいもんの膝。
雨の降るなか、長引く戦による兵士の消耗を嘆いてるところは妙に色っぽいんです。
あの場面の「ああ…」「このままでは…」と表情で語ってるところがなんだかツボ。
対して、劉邦が戦をする覚悟を決めるところでは、兵を率いる将としての熱が感じられた。
桃娘に対するところの優男の風情と、戦う将としての熱さの両面が素敵でした。
ただ一か所、気に食わん場所があってなー。
楚の国の将だった韓信が桃娘を道案内として漢に逃げる。
無事漢に逃げおおせた韓信が桃娘に愛を告げるが、桃娘は父の配下であった衛布に汚された身であることを理由に愛するかれから身を引こうとするんだ。
「私に残された誇りを失わせないで」と。
それに対して韓信が語ることば――、
なんで「未来を見ましょう」なんだろう。
「そんな誇りは捨ててください」なんて言えるんだろう。
罪悪感にさいなまれた女の言葉を否定し守らせることで
「こんなふうに女をなぐさめる彼って素晴らしい人格でしょう!」
「ほら、すごくいい男だよね」
というふうに見せる。
わざわざ女を貶めておいてから男に引き上げさせる。
そのことによって男を輝かせようという作者の自意識が気持ち悪い。
みわっちが悪いんじゃないんですが、なんかどうもね。
本来は感動する場面だろうに。
だいもんの娘役はかわいかった。違和感ないわ。
しょっぱなから銀橋をガンガン走っていくところも(しかしネックレスの石がゴンゴンなってうるさい)、センターで剣舞を舞うところもかわいい。
鴻門の会で衛布の存在に気付いておびえるところなど演技も細かい。
そして「私は太守の娘です。心までは裸にされません」の気高さとせつなさがよかった。
桃娘を脅迫し手ごめにする衛布は良い役がらではないんだけど、みつるが演じるとすごくかっこいい。綺麗だし。
意外なほど現実的な生々しさが少なくて、だから見ていても不愉快にならなかったんだと思う。
みつるの演技って今までリアルな気がしていたんだけど、今回「生々しくない」と思ったことがふしぎだ。
舞台用のリアルと現実世界でのリアルは別物ってことか。
一番すごかったのは彼が死ぬ場面。
目を見開いたまま一言も発せずにただ倒れる。
これがほんっっとうにかっこよくて見惚れた。
見入った。
この死に方によって衛布というキャラクターが大きくなったんだ。
万雷の拍手を送りたくなるような見事な死にざまだった。

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