『ベルリン、わが愛』新公感想・2

2021-01-31星組

●颯香くんのヴィクトール・ライマン。

ヒゲが似合う。
ヒゲつけるとクソかっこいい。
『阿弖流為』物部天鈴のときも思ったけど研3はウソだと思う。
なんなのだ、あの貫禄と安定感と上手さは。

はじめにテオに誘われたときは「若造の主演作に出るなんて!」という嫉妬が見え、その嫉妬心が次第にテオたちの行動によって氷解していったのが見えた。
カフェでのゲルダとのやり取りには、彼の若かりし頃のやんちゃさが垣間見えた。
はけるときに帽子をかぶるんだけど、そのかぶり方がイマイチだったのが「研3」の若さだろうか。(でも私の席が前方上手端のほうだったから、正面から見たらまともだった可能性はある)

ちゃんと、映画界で生きてきた年月を感じさせる芝居でしたよ。

あと、新公後のタオ(新公の長)と極美くん(新公主演)のご挨拶を細かく頷きながら真剣に聞いている姿がよかったです。
ここまで真剣な様子ならまだまだ伸びるだろうなぁ。
今でもめちゃくちゃ上手いのに。

最初の映画出演は断ったくせに、裏方やってるのはちょっと面白かったです。
もちろんバイトだけど(ヒゲとって若々しくやってた)。
レビューシーンではレ・ガールズもやってました。こちらも溌溂としてた。

さやかりんちゃんには出世してほしいなぁ。(路線に乗ってほしいという意味ではなく)

●天飛くんのロルフ・シェレンベルク。

まず、ビジュアルが蘭寿さんに似すぎだ。
ほんと蘭寿さんファンは一回見てほしい、マジで似てるから。
芝居もなんか似てる(気がする)から、蘭寿さんの芝居が好きだった人にはマジで確認してほしい。

しかも似てるだけじゃなくてガチで上手いですよ、彼。
酔っ払っての登場シーンは笑わせるし、映画でのハンス役ではスッとしたところを見せるし、男くさい演技もできるしでほんと心強い。
男くさい演技は、本公演のカフェのシーンとか、文化祭の2番手役とかでやってました。
『阿弖流為』の阿奴志己もよかったし。

声もいいので、「意外とうまいな」と言われるのが納得なくらいにちゃんとうまかったです。

●タオのヨーゼフ・ゲッベルス。

こういっちゃなんだが、めっちゃ面白かった。
予想外のキャラの濃さだった。
(このキャラの濃さがわざとじゃなさそうなのがポイント高い)

まず、ナチスが台頭してくるところでの銀橋のタオがめっちゃ怖かったんですよ。

前場の、テオが思い出話をしているところで「星蘭さんのジルって嗜虐性をそそるところがあるのかもしれない」と思っていたせいか、タオのゲッベルスの目の据わった感じがめっちゃ怖かった。
本役カチャのゲッベルスはジルに対して純愛のような感じすら受けたのに、タオには執念を感じる。
それも病的な感じの。

本役のあーちゃんジルは生命力があるから、ゲッベルスとの力関係もユダヤ人という弱みこそあれほぼ対等。
意に添わなければノーを言える。
立場ゆえに関係性がいびつになったけれど、人間同士の恋にみえる。

けれど人形っぽく気弱な星蘭さんジルに病的な執着心のありそうなタオ・ゲッベルスだと、ひたすらに美貌という器を欲したのかなと。
ジルの我の弱さもそれにうってつけ。
自分の理想の美女をジルに投影しているかのよう。

ゲッベルス邸で映画フィルムを見せるのは自分の理想の女性コレクション(二次元)の披瀝のようである。

ジルを手にしたあとは「美を永遠にとどめるために」と星蘭さんを蝋人形にでもしそうな雰囲気があった。
黒蜥蜴か。
そういう感じのあぶなさがあったのよ。

体格がいいから、ジルを押し倒そうと机に脚をかけているところも迫力があってエロかったです。

0