『アルカンシェル』東京新公を見たんだ・2

花組公演感想,花組

『アルカンシェル』新人公演、生徒個々の感想。

主演・マルセル・ドーラン/れいん

かれーちゃんのラスト新公をとったのはれいん。
104期生で、新公主演は『鴛鴦歌合戦』に続く2回目です。

まず、ビジュアルがすっきりした気がする。痩せたのかな?
ジェンヌさんたちは体型管理も仕事のうちで、痩せすぎると心配になるけど、それでもわかりやすく「美し」くみせるためには磨かれたスタイルが必要です。
あの追随を許さないビジュアルのかれーちゃんと比べられて、見劣りを感じないのはすばらしかったです。

れいんの特技をよく知らなかったんですが、ダンスがとても上手いんですね。
最初のほうのモンマルトルのピエロのダンスとかね。
拷問の場面の打たれ方もよかったですね。体の使い方がうまいのかな。

はじめのほうは緊張も感じましたが、徐々に舞台に「乗っていく」感じを受けました。

歌も芝居も良くて、なにかが突出しないからこそ「売り」が見えにくい難しさがあります。
しかし全体的にきちんとした芸を見せられるというのは頼もしいことです。
あとは経験値なのでしょう。

最後のご挨拶は新公の長と主演を兼ねたもので、言葉選びもきちんとしていて好感を持てるものでした。
まじめで頭がいい男役さんなのかな。

ヒロイン・カトリーヌ・ルノー/はづきちゃん

まどかのラスト新公ヒロインをとったのは107期のはづきちゃん。
新公ヒロインは『うたかたの恋』に続く2度目です。

『うたかたの恋』のときも思いましたが、まず歌が上手いのはいいですよね。
ミュージック・ホールの歌姫という役に合うだけでなく、舞台を格上げしてくれますから。

まだ若手娘役ながら堂々としていて、貫禄すら感じるのがすごいところ。
まどかカトリーヌより落ち着きを感じるのはビジュアルゆえかしら。
芝居もいいし、それに瞳の輝きが強いなぁ。

歌姫としてのドイツデビューなしで慰問団に加わるところはすっきりとしたシックなスーツ姿で、彼女の落ち着きが一層増しました。
慰問から脱走したことをのちにコンラート・バルツァーに責められて「それより……」と無理に話を変えるのは、本人のせいじゃないけどなかなかに苦しい。

偶然かどうかわかりませんが、「アルカンシェル=虹」で「れいん=雨」「七彩=虹」で新公主演コンビというのは面白いですね。

新公2番手・フリードリッヒ・アドラー/みくるん

106期文化祭ではたまちゃん似のダンサーで名を馳せたみくるんが新公2番手でした。
その後はなこちゃんに似てるとか、宙のずんちゃんに似てるとか言われてちょっと面白いな(笑)。
本役はひとこちゃん。

ダンサーという認識だったんですが、歌もいい感じでした。

キスシーンを含めた芝居は若い感じで、これからの成長待ちでしょう。
滑舌の甘さは気になったかな。ここは課題。

かれはドイツ軍なわけで、パリ解放後の存否が気になるわけですが……なんとか生き延びてそうな本役ひとこちゃんに対し、わりと死んでそうな感じが……。サイコ味が薄いからかしら。

新公3番手・イヴ・ゴーシェ/みそまる

なにごとにもそつがなく、万事上手いみそまる(105期)がイヴ・ゴーシェ役でした。本役はほのかちゃん。
狂言回しのようなポジションで居方も難しいと思うんですが、ちゃんとクリアしてましたね。
口跡もよくてセリフは聞きやすいし、歌もやっぱり上手い。
抜群の安定感です。

少年イヴの孫から本人へと役柄が変わりましたが、「少年本人の成長後」としての佇まいがあるのも見事です。
目の色で、パリの夜の街を歩く不安さを思い出しているのがわかる。
ナチス占領下のパリの心もとない気持ちの追憶です。

課題はビジュアル。どうしても小柄だしね。
太ももが立派なのはダンサーゆえの筋肉なんだろうなぁ。

ポーラ/みさこちゃん

今回、ある意味一番印象に残ったのはみさこちゃん演じるポーラ。
本公演では男役のはなこちゃんが演じているピアノ弾き(ポール)です。
新公では役を女性に変えて演じています。

コンラート・バルツァーが初めて稽古場にきたときのクラシックなんてピアノ弾けません!なツンぶりもパリジェンヌのプライドを感じてすごく良かったんですが、なんといってもレジスタンス。
新公は人数の関係もあってか、娘役も女性役のままレジスタンスに加わるんですよね。
で、みさこちゃんは本役のはなこちゃん同様、メインキャスト扱いでパンツスタイルで銀橋にも出てくる。バリバリ戦うしセリフも多い。

みさこちゃんは娘役にしては背が高くてスタイルがいいからものすごく映えるんですよね。
ダンスもかっこよかった。
退団公演の新人公演だけど、代表作になるんじゃないかなぁ。
餞別かとも思える役付きですが、素敵でした。

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