『神々の土地』感想・4

宙組

・皇帝一家は「あーあるよなこういう家族」と思える造形。
ロシアのツァーリ一家なので日本の庶民とはまるで違うはずなのに「わかる」と思ってしまうのは家族には普遍的なものがあるからなのだろうか。

・まっぷーの皇帝=ニコライ二世はいい人そうなんだけど「そうじゃない」とも言いたくなる。

オリガの婚約披露の場でドミトリーに「娘を愛しているのか」と穏やかに問う。
娘の幸せを願っているから、と。

これ、そこで聞きますか。
もっと早く聞かないかな。
普通の貴族なら嘘でも「愛している」って答えざるを得ないだろうな。
「愛してない」って言われたら娘が恥をかくことになるのだが。

ドミトリーがオリガを心から愛してはいなくても悪くない夫婦にはなっただろうに、未来を見据えたベターな選択をできる皇帝一家になっただろうに。それを壊したのは皇帝だ。
そして帝国の崩壊を進めたのも。

また、この質問を近くで聞いているアレクサンドラ皇后の気持ちやいかに。
皇帝は自分が愛した女性を皇后にしたけれど、彼女の心は救われなかった。
貴族たちからはなにかとばかにされ、皇太子の血友病は自分のせいとされ、それなのに夫として妻を守ろうとしなかったことに皇后は不信の念を抱いている。
けれどそのことに皇帝はきっとかけらも気づいていない。

この無神経さに「わかる―――!!!」と叫びたくなった。嫁に行ったことないけど。
こういうイラっとくる人物を演じてくれるまっぷー、すごい。

・りんきらのアレクサンドラ皇后は重い――重いよ!
ウエクミがこれを娘役にやらせなかったのが分かる気がする。

可哀想な人ではあるんだけど、皇后としては(いや一人の主婦としてもか)冗談じゃないよね、って感じの人ではある。
「お母様が守ってあげます」のセリフは切ない。
絶対に絶対に守れないのに、でも信念だけで言ってるんだろうな。本当に守るつもりで、守れると思って。

彼女がまともならせめてオリガくらいは助かっただろうに、とその後を一応は知っているだけに辛い。

アレクサンドラ皇后は冗談じゃないよねと思いつつも、感情移入してしまう人物でもある。

『エリザベート』のシシィといい今作のアレクサンドラといい、皇帝が惚れた女性を皇后にすると帝国は滅亡するのか?と思ってしまった。

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Posted by hanazononiyukigamau