流行も何回りかすれば・7

歌劇・グラフ

おととしくらいに買った『歌劇』です。

昭和21年10月号、復刊第7号にして通巻第254号。
復刊というのは、戦争で休刊していた時期があるためでしょう。
臨時定価5円です。
全66ページ。

紙質はとっても時代を感じるものです。
なんか匂いする。

目次によれば表紙は深緑夏子さんだそうです。

●文章は旧かな、横文字は右から左に流れます。
読みづらい!
がしかし、これがこの時代。

(以下、引用文は勝手に現代かな、現代仮名遣いで書きます。原文通り打つのがめんどくさいので)

●一三翁の「思ひつ記」。
前に書籍になったものを読んだことがあるが、やはり飛ばしている……。


歌劇九月号を見て、編輯当局者が早くも行詰ったのではないかと杞憂する。写真全部コロタイプにしたことは成功だと思うが、花里いさ子の『涼風』芸妓には閉口する。ああいう下品な踊は遊郭専門で、宝塚式ではないと思う。花里が可哀そうだ。全誌材料に如何にもバラエテーが無い。座談会風のものばかりで「涼風座談会」六ページ「月組公演合評」五ページ「新人合評」四ページ「宝塚座談会」四ページ、尚此外に座談会と尚同一味の「相手役を語る」六ページ、如何にも智恵のない塗りつぶし方であるのに失望した。

●巻末、「編輯後期」の文章が詩的である。


月が明るくて、眠りがたい夜がつづいている
展げた白い紙の上を、きりぎりすが一匹わずかな影を落して歩いて行った

(中略)

 静寂の季節の中で、
 風立ちぬ いざ生きめやも
と、むかしのうたを口ずさみながら、早く、つかれた夏の心をしずめたい。(時子)

岩谷時子さんか!

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