『灼熱の彼方』オデュセウス編感想・3

それどうなのよ…? とつっこまずにいられないところだらけでした。

咲奈演じるオデュセウスはローマの将軍。
ローマ皇帝の息子である幼なじみのコモドゥスは長じて暴君となり、これまた幼なじみのアンヌはわけあってコモドゥス暗殺団に加わっていた。
アンヌを止めるオデュセウス。
しかし最終的にアンヌは流刑に処されることになった。
心穏やかにそれを受け入れるアンヌ、彼女とともにいるという約束を果たすべく同じ舟に乗りこんだオデュセウス。
愛を貫いた彼の姿を人々は「ローマの太陽」と讃えるのであった。

古代ローマ人がどういう思考回路をしてるか、私は知らない。
けれど、国のことを完全に捨てて勝手に死のうとしちゃうような男を「ローマの太陽」として崇め讃えるほどおめでたくはないと思うんだ。

将軍なら暴君をいさめろよ。
さんざん凱旋してたってことは他国との関係も安定してないってことでしょ? なのに国の未来より個人の事情をとってしまうってどうなのよ。
「公」より「私」、「国」より「女」を優先させても平気な社会ってそうはないと思うよ。

結果として「愛」を選びとってしまうというのは、物語としてはアリだと思うんだ。
けれど、それならせめてリアリティが欲しい。周囲の人々にもオデュセウス個人にも。
仮にも将軍の身分にあってなんの良心の呵責なく国を放棄できるってどうなのよ。
オデュセウス、ちったぁ悩めよ。
アンヌのことで頭がいっぱいで、葛藤ゼロなんだもんこの人。

しかも腹が立つのは「憎しみはなにも生まない」と、それなんてアイーダ? なセリフを吐きながらこの人はなんにもしてないってことだ。
人に説教する以上復讐以外のなんらかの解決法を示すべきだろうにそういうの全然ないから。復讐をとめて、あとは一緒の未来をみる――と言いながらその実、死に向かうだけだから。
説教するだけでなにもできないんならせめてアンヌの復讐を遂げさせてやってよー。
(ちなみにコモドゥス編は観ませんが、実は2人は生きていた! になるんじゃないかと思ってます)

なんか咲奈が不憫になってくる…。
この男をどう素敵に演じろと。
がんばってもがんばっても、オデュセウスの思考回路のめでたさに腹がたってくるんだもん…。

しかもヒロインは夢華さんだしなぁ。
なんでこの女のために国を捨てるのか感覚的なレベルで理解できない。
美女に惚れられて男役がかっこよく見える、というヅカマジックも効きません。
そして2人のラブシーンが長いっす…。
視覚的に美しくないのでけっこう辛かったです……。

流刑に処せられたアンヌの舟にこっそりと乗りこんでいたオデュセウス。
彼的には「約束を果たした」ということらしいが、それ以前に将軍としての責務を果たせよとしか…。現代ならいざしらず、舞台はかりにも古代のローマだ。

で、この流刑船の大きさってどのくらいなんですかね。
たかだか囚人のために立派なのを建造するとも思えないので、筏サイズかせいぜい渡し舟サイズだと思うんだけど。
オデュセウスが隠れられるほどの大きさのわけはないと思うんだ。

最後まで盛大にツッコミを入れさせてくれる作品でした。
だからといって楽しいわけではもちろんない。

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