『HEAT ON BEAT』感想・1

月組

うっかり寝てしまった芝居に対し、ショーは大満足でした。
何度でも見たい。
病みつきになるショーだ。

全篇好きなんだけど、とくに惹かれるのは「BODY HEAT」(あさきりあいメインの椅子の場面)。
それから「EL TANGO」(あさあひしずメインの夜会の場面)。
この2場面は中毒性がある。

そう、三木先生のショーって毒があるんだ。
今まで考えたこともなかったけど。

毒があって、耽美で、とにかく美しい。
官能性がある。
宝塚でしかありえない、夢のような、それも少し悪夢のような、蠱惑的な世界をつくり上げる。

そしてそれを完成させる演者がいるんだ。
宝塚には。

退団するあさこ。
いうまでもなく男役スターの極みで、男役の集大成を見せてくれる。

「BODY HEAT」の場面で上手から登場。
後ろを向いたまま上げた手を軽くひらひらっとさせた。
それが本当に美しくて。

ほんの少しの動きなのにそれだけで感動してしまった。
そして「男役とはこういう生き物なのだな」と変な納得のしかたをしてしまった。
手を少し動かしただけで人を感動させるなんて、男役だからこそだ。

美しいものの極みを見た気持ちになって、その一瞬だけでこのショーに満足してしまうほどだった。

だけどそれだけでは終わらなかった。

一脚の赤い椅子を、女をいつくしむように愛でる男たち。
あさこに戯れかかり、弄ぼうとする女たち。
エレガントに大人の色香をふりまくあいあい。
そしてきりやんがいつになく攻めの色気を存分に出して踊る。

あさきりがすごかった。
実力伯仲する2人の関係がセクシーで。

あさあいはとてつもないリフトに驚嘆し、そしてなんだか泣けた。
これが最後だと思うと。

あらゆるものが美しくて、あらゆる人から目を離せない。
目がいくつあっても足りない。
何度見てもきっと見足りない。飽くことがない。

わかろうと、この世界を解き明かそうとしてもきっと届かない。
ほんとうに幻の、夢のような世界で。

このショーを見れてよかった。


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月組

Posted by hanazononiyukigamau