『紅姉妹』感想

宝塚以外

3軒茶屋婦人会による『紅姉妹』大阪公演を観てきました。
一度みてみたかったわかぎゑふさんの作になるもの。
5月1日14時開演、舞台はおなじみシアター・ドラマシティです。

出演者は男性3人だけ、そのみんなが女装をしている。
あるいみ宝塚の逆か…?

ざっくりと話を書くと、ミミ・ベニイ・ジュンの「3姉妹」が10年ずつ時間をさかのぼるかたちでかつて彼女らの上に起こった出来事を描いていく。
いろいろな謎が観客に提示され、解かれ、最後には3人の関係が明らかになる。

・3人とも、写真立ての1人の男を愛していたらしい。その男とは何者か。まだ、どういう関係だったのか。

・「ジョー」という子供がいるらしい。3人とも「ママ」にあたるらしいが、どういうことなのか。

・ジュンは一度目の結婚があまりよくなかったらしい。どんな結婚だったのか。

・芝居の途中で、はじめて会ったときの話が出てくる。ということは一緒に生まれ育った姉妹ではないということか。

・自分の年齢をおいて結婚を夢みるジュンがふられ、落ち込む。そんなベニイは自分と結婚することもできるという。本気なのか冗談なのか。また、その意味は。

・第二次世界大戦のころの、彼女らが愛する男と部隊でともに戦った男から電話がかかってくる。それはなぜ。

実際にはこれ以上の謎が生まれては消え、生まれては消え…。

面白かったです。
徐々に謎が明らかにされる過程も、最後にすぱっと3人の関係がわかる、骨の部分もよかったけれど、3人が楽しそうに演じている普段の動きがすごくて笑ってしまいました。

老女のミミが1人で舞台に出てくるところ。
しゃんとしていながら老人らしさもある、そのバランスが素晴らしかった。
料亭やバーを経営している老婦人はこんな感じだろうな、と思って。

10年ほどさかのぼって3人が新世紀を祝っている。
そのときの会話のグダグダさがおかしい。
乾杯しようとしてなんのために乾杯しようとしているのかわからなくなるところで大笑いした。
会話がかみ合わず、ループしていくさまがいつかどこかで見たご老人達そのもののようで、おかしくせつなく愛おしい。

私のツボにきたのは、ベニイが足を組もうとしてその太さゆえにうまく組めなくて苦労するところ。
細かい! これを自分が身にしみてわかるのがせつない! 脚が太いと組みづらいんですよねー、ふふ…。

笑えて笑えて、そのなかにもちょっと苦さがあって、運命の妙が配されていて、でもひたすら笑って。
出演者3人の演技もすごくよくて。

見ごたえのあるほんとにいい舞台でした。

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