『黒蜥蜴』感想・2

OG,宝塚以外

・明智役の井上さんは「ミュージカルの人」という認識なんですが、ストレートプレイもいけるんですね。
明智としてのいくつかの扮装、まんまと騙されました。原作、読んだことあるんだけどね。

明智は探偵をしてはいるけれど、犯罪を愛する、三島的な唯美的な存在。
犯罪であり美そのものでもある、本物の宝石=黒蜥蜴を愛する。
大阪のホテルで早苗がさらわれたとき、早苗の父に対するふてぶてしい態度が見事でした。
ここで明智の変人ぶりというか、ただならぬ人物像、黒蜥蜴と心を通わせあう資質が見えてくるよね。

・家政婦ひな役にコムちゃん。
ほんっと老けないなこの方は!! いくつになってもきれいで可愛いわ。

ひなに扮して地味なおばさんらしさを見せていたかと思えば、黒蜥蜴の部下として忠実でありつつ暗さと鋭さを見せてくる。ああかっこいい。
外した眼鏡のつるを口にくわえるところがすごく好き。

ダンサーさんなのにストプレかぁと思ってたら、最後にハケるところでちょっとだけダンスが見れて嬉しかった。

・いまっちさんはほぼモブな扱いでしたが、それでも立ち姿がきれいで目を引く。
現役時代はかなり一般の人間寄りの人だったけど、外に出ると「やっぱり元フェアリーだけあるな」と感じます。
スタイルの良さが際立つんだよね。

・雨宮役の成河。
ぬらぬらしてるー!!
地味ななりで目だけが爛々としてる感じとか気持ち悪くて、ああ乱歩世界!!ってなったよ。

記憶にある限りで『グランドホテル』『エリザベート』、そして『黒蜥蜴』で彼を舞台で見るのは3回目。
カメレオンみたいな役者で、彼の顔を覚えにくいのは彼の演技のせいもあるのかもしれない。
毎度印象が違うんだよね。

笑いを取るようなところは意図どおりなのか、そして意図どおりとしてその笑いの演出は必要なのかはよくわからなかった。

・早苗役に相楽さん。

快活できれいないいとこのお嬢さん。
黒蜥蜴が彼女を手にしようとする気持ちがわかるような早苗ぶりでした。
早苗が明るくまっすぐであればあるほど、それを閉じ込めたくなるんだろうな。

・早苗の父親役にたかおさん。
動きが自然すぎてびびる。
言動がうちの父を見ているかのようだ!
演じている役者さんもそれなりにご老体だろうけれど、だからといって中年~老年の動きを舞台でできるかというと別だからね。

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