『カサブランカ』感想・6
ゆうひさんのリックは登場したときからかっこよかった。
トレンチコートを羽織って、帽子を少し斜めにかぶり、煙草をふかす。
煙草を一息のみ、煙を吐く。
その煙の吐き方がどうしようもなくかっこよくて体が凍りついた。
上手スッポンからセリ上がってきて煙を吐き終わるまでおよそ10秒。
煙草をひとつふかす、それだけで決まった。
勝負あった。
「かっこいいな」と思うと同時に変なトップだな、と思った。
哀愁を漂わせて雰囲気で押して。
華はあるけれど翳が濃くて。
顔は、正直好みが分かれるところだろう。ハマる人と嫌う人がいると思う。
歌やダンスの技術は残念ながらない。
芝居は上手いと思うけれど、発声や話し方に好みが分かれる気もする。
なんで今さらトップになったのか。
トップにするならどうしてあんな半端な扱いだったのか。
いつから。
どうして。
彼女がトップになる、あるいは彼女をトップにするとはどういうことなのか。
あらゆることが胸内を駆け巡り、出るはずのない答えに決着はなく、それでも銀橋に立つゆうひさんからは目を離せない。
男役として立っている。
誰にも真似できない「技術」とそれ以上のなにかをもって、たった一人、2500人の視線とライトを浴びて立っている。
失礼な言い草になるかもしれないが、意外すぎるほどそれが似合っていた。
だから素直に祝福できた。
トップになってよかったんだ、と。
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