『ドン・ジュアン』感想・4
ドン・ジュアンに棄てられた妻・エルヴィラ役にくらっち。
歌と演技の確かさが素晴らしかったです。
まず好きな場面、2つ。
1つ目はドン・ジュアンとラファエルが酒場で闘う場面。
あの「蚊帳の外」感がいいんです。
すごくせつない。
修道院を出てドン・ジュアンの妻になり、そこにしか自分の居場所がないと思っている。
ドン・ジュアンの妻であるということだけが彼女のよりどころ。
夫の愛を自らのもとに取り戻そうと必死だったのが、愛する女をめぐる戦いを見て、ぐっと身の丈が伸びたように思えた。
それまでは自分のことばかり考えて欲に囚われていたのに、夫の心を知り、夫の身を案じる――精神的な成長を遂げた。
そのきっかけとなる酒場の場面のくらっちエルヴィラの表情に胸を締めつけられた。
辛いよなぁ。
もう1つは、場面を遡りますが「悪いこともできるの」と夜の酒場で歌うところ。
肌もあらわな女を誘うドン・ジュアンに見せつけるべく、エルヴィラも男を誘う。
だが、そんな気もないのに脱ぎ、誘う姿はただ痛々しい。
その痛々しさが胸に迫る。
それ以外では、追いつめられてドン・ジュアンの父ドン・ルイ・テノリオと争うところもよかった。
生真面目そうでクラシカルな雰囲気が、基本的には「聖女」なエルヴィラにすごく合ってたなぁ。
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ディスカッション
コメント一覧
初めまして。
最近ブログを拝見するようになりました。
だいもんの大ファンです!
ブログ、そうそうとうなずきながら、時にクスッとしたりニヤッとしながら楽しく読ませてもらっています。
お芝居や演技の読みが深く文章表現もとてもお上手なので、舞台上のジェンヌさんたちの動きや空気までもが伝わって来るようです。
(お姉さまもね♪)
ブログの更新を楽しみにしています。
>ステップ さま
初めまして。
ブログ、楽しんでいただけてよかったです。
しばらく観劇三昧なので、ネタはあるけど更新が追いつかない!という状況になると思いますが、まったりとお待ちください。