『ドン・ジュアン』感想・6

だいもんが「花びら」と歌うたび、薔薇の花びらが舞い散る幻影を見た。

声のよさ、音程、迫力のみならず、世界構築力があるよな、だいもんの声は。
花組時代からどんな駄作でも最後にだいもんが歌えばいい作品を観たと錯覚させる人ではあった。
そんなだいもんが良作で遠慮なしに飛ばしたら、そりゃーもう…。
圧倒されるものができます。
劇場が、だいもんの色で染まるというのは快感だ。

芝居もすごい。
2幕ももちろんだけど、なんといっても1幕。

冷たく、怖い顔で女をあしらう。
一晩限りの相手を求めて、自分の欲望を満たしたらお払い箱にする。
そこに良心の呵責はなく、憎まれ呪われてもびくともしない。

悪党なのに、あるいは悪党だからこそか、とてつもなく魅力的だった。

何度も言うけれど、やはり熱量なんだ。
桁外れの熱量で迫るから、客席までが彼の炎で灼かれる――錯覚をおこす。
無理やりに心臓をわしづかみにされて揺さぶられる。

だいもんを好きでも嫌いでも、これに動かされずにいられるだろうか。

ドンジュアンが決闘で倒れたときの薔薇の扱いがかっこよかった。

セビリアの男女はドン・ジュアンには薔薇を棄てるように投げる。
ドン・ジュアンを憎み呪って。
それが、マリアからは丁寧に受け取るようになるのが、彼らの心境の変化として鮮やかに映る。

こういうのが演出だよな!

台詞や歌詞だけでは伝わらないものを、画として、客席にダイレクトに届ける。

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