ヒロイン・マリア役の美咲ちゃんが可愛くなったような。
トップ娘役就任、おめでとうございます。
今回、マリアの芸術家としてのスタンスがすごくしっくりくるものでした。
ちゃんと芸術家として存在してるから、そりゃ周りから変な子扱いされるだろうなぁ…。
美咲マリアは結婚を約束したラファエルにあまり興味がなさそう。
翌日は戦地に赴くという日も遅れて登場するし。
じゃあなんで結婚の約束をしたんだというのが現代の感覚だけど、当時は独身で職業を持って生きる女性なんてほとんど想定されてないんじゃないのかな。
結婚しない女性はきっと修道女か娼婦くらい。
とりたてて愛はなくても家同士のつながりで婚約者がいたり、あるいは相手側になんとなく押し切られてたりするんじゃないか。
恋愛や結婚にたいして興味ないからこそ、ぐいぐい来られたら「そんなもんか」で流してしまうタイプの人間はいる。
初演とちがって美咲マリアは手指に傷のテーピングをしている。
石を彫っているときにつけた傷だろう。
だかられいんラファエルが「結婚したら仕事をやめて」「怪我をされたらたまらない」というのもわかる。
初演のひとこラファエルに比べて、再演のれいんラファエルはモラハラ感が薄いのだ。
マリアから生きがいの仕事を取りあげることは同じなのに。
美咲ちゃんのマリアは、ちゃんと芸術家っぽいのだ。
彫刻という仕事が好きというだけでなく、存在の仕方が少し浮いている。
ああ、生き辛いだろうなと思う。
「どうして」「そんなものなのかしら」と言いながら、世間に合わせきれない辛さが見える。
だから騎士団長殺しのドン・ジュアンに初めて会ったときに笑うのも、恐怖よりも興味が勝ってしまう。
ラファエルには端から恋していないから、ドン・ジュアンへのめりこむのもわかる。
仕事を続ければいいというドン・ジュアンにも惹かれる。
婚約者がいたのに、すぐにドン・ジュアンに乗り換えたとんでもない女――というところだろう。
戦場でラファエルの隊が全滅したという噂があり、もし婚約者が亡くなったと思ったとしても、あまりにも早すぎるタイミングではある。世間体は悪い。
婚約者のラファエルすら入れなかった仕事場に、ドン・ジュアンは入れる。
マリアにとって仕事場は心の中と同じで、「世間」に生きるラファエルは根本的にアウトローなマリアのなかには入れない。
けれどアウトローで、マリアを正面から見られるドン・ジュアンは入れる。世間に合わせろ、常識はこうだって言ってこないし。
この感じ、すごくわかる気がする。
ものすごく雑に言えば、超絶オタクの書斎や本棚を見せられる相手って決まってるじゃないですか。
無遠慮にずけずけと入り込まれちゃたまらない場所ってある。
とりとめなく書きましたが、「ああ、わかるなぁ」と思えるマリアでした。
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