『君が人生の時』感想

OG

上京時に『君が人生の時』を観てきました。
新国立劇場、6月30日(金)12時30分の回です。 

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・戦争前夜のサンフランシスコにある場末の酒場が舞台。
薄暗く、倦怠感があり、どこかピリピリともしている。
この「戦争前夜」の雰囲気に、舞台を現代日本と重ねてしまって観ていて少々辛かったです。身につまされるというか――。

・外部の舞台なので男性俳優が多い。
叫んだり強い語気のセリフも多い。人に辛く当たる場面も多い。

この荒々しさが普段「宝塚」にどっぷりしてる身には最初は馴染めなかった。
なぜ男の人は(と一般化する)そんな言い方をする?、と。
この雰囲気が舞台の空気を作っているのだけど。
(そして自分に合わないなら一生タカラヅカやハッピーミュージカルを観てろという話……)

1幕半ばくらいで慣れました。

・第1幕は舞台を構成する人々が次々に酒場を訪れる。
いかしてないコメディアンと空腹のあまり行き倒れそうになっていた男は、行き倒れかけの男がピアノを弾きはじめると生き生きとタップを踏みはじめる。

この場面は楽しかったんだけど、少しずつ人物が出てくる第1幕、すいません、途中で意識が飛びました……。
でも意識飛んじゃってる感じの人は見当たらなかったので、たぶん私に合わなかっただけなのでしょう。
ていうか作品が渋い。なにせ上演のテーマがこんななので。

「日本の演劇がどのように西洋演劇と出会い進化してきたか」をテーマに、新翻訳で贈る「JAPAN MEETS…―現代劇の系譜をひもとく―」シリーズ。日本の近代演劇に大きな影響を与えた海外戯曲を新たに翻訳し、現在によみがえらせます。

いい話、優れた戯曲ではあるのでしょうが――。

・すみ花の役は娼婦キティ。ぜんっぜんタカラヅカしてない!
外部の舞台だから当然だけど、本当に一人の女優さんになったんだなぁ……。

混乱して自棄になるところ、おもちゃのメリーゴーランドを前にしてのはしゃぎかた、トムと心を通じ合わせていくところ……。
どれもがこちらの感覚に入り込んでくるよう。

宝塚時代からすみ花は生々しさのある演技に定評のある演者でしたが、2幕終わりに「踊れ」「脱げ」と命じられて追い詰められていくさまにそれを強く感じました。

・1幕では淡々と不思議な存在感を見せていた主人公・ジョー。
2幕には感情を爆発させます。
1幕の紳士ぶりを裏返したような――そう、「裏」なんです。きちんとつながっているんです。
一人の人間の人格として不自然に感じさせないのが坂本さんのすごいところでした。

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Posted by hanazononiyukigamau