『幕末太陽傳』感想・3
・佐平次は、ちぎたさんのコミカルさ、動きの軽やかさ、テンポのよさが生かされた役。
金を持たずに登楼し、男衆を煙に巻き、ふてぶてしく居座る。図々しいのに憎めない。
居残りを決めてからはどこからともなくあらわれては廓内でのごたごたをサッと解決してしまう。
嫌味のない明るさと、死の影、そしてそれを打ち払おうとするかのようなしぶとさがいいんです。
ゴタゴタの中に割って入るテンポのよさ、セリフのキレがいい。
そして動き。
羽織をひょいっと投げてから着るの、あれむつかしいんだろうなぁ。
・みゆのおそめもとても良かった。
娘役らしくて可憐でいながら芝居が抜群にできるから、娘役の枠をはみ出したような役でも宝塚的に美しくきちんと形にしてみせる。見ごたえのある演技を見せてくれる。
おそめはやけっぱちなところがあって金策に困ったあげくに心中相手を探すような女郎で、その相手が行き違いで無駄死にしてもケロッとしている。
気分屋でしたたかでろくでもない。
それなのに愛嬌があって許せてしまう。
金造、おくまとのやりとり、すごかったわ。
ひどいこと言ってるんだけど、会話のテンポがよくて笑ってしまう。
あんりちゃん演じるこはるとのやりあいも楽しかった。
・私が今の段階で観たのは初日明けてすぐの土曜と日曜。
そのときは咲奈が休演中だったので代役が入ってました。
本役・咲奈の徳三郎役にはひとこ。
相模屋の若旦那で、吉原通いをしてるアホボンです。
ひとこのチャラチャラ感がすごくハマってました。
代役だって知らなかったらふつうにこれが本役だと思って観てただろうなぁ。
ひとこは本公演での役(清七)に加えて急に代役が降ってくるわ、新公では主演だわで大変でした。
でも、たとえばまさみりやかれーちゃんは本公演で役替わりのうえに新公主演とかやってたわけで、それを考えれば超路線の通る道と思えばいいよね?
――と思ったけど、ひとこにはショーでの代役もあったわけで、やっぱり大変だ。
この大変さも経験値になるだろうし、かれの血肉になるよね? なりますように!
・本役・ひとこの清七役の代役には縣くん。
研3なりたてにして早くもでかいところを任されました。
経験値として足りない部分はあったけれど、美形で堂々としてたわ。
そんなに違和感はなかったので、かれも代役と知らなければ(ついでに学年を知らなければ)本役と思って観てたんじゃないかな。
本専科のまりんさんと組んで芝居をすることでいい経験になったと思う。
相模屋の2階で寝ている場面があって、寝顔が眼福でした。
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