『ブラック・ジャック 許されざる者への挽歌』感想・3

2022-12-02雪組公演感想,雪組

●今回は客席おりはありません。
通路席を持ってたのでちょっと悔しくもありますが、青年館の2階でご覧になる方にも、そういう意味では親切…?

ところで例のBJキューピーを当てた日の当選番号は各列19番だったのですよ。
ドラマシティの16列から18列に19番の席はないのですが、3つ分のキューピーのゆくえが気になります。

●テーマ曲は前作同様「変わらぬ思い」。
名曲です。
まっつに歌われると、これまた泣きます。

●去年の『インフィニティ』に続き、まっつ主演の良作。
主演運あるなぁ、まっつ。(新公時代は知らない(笑))
もちろんこれも、彼女の実力あってのものだけれど。

●表向きのクールさやニヒルさ、傍若無人なさまと、人道的で熱い心を持った内面の表現がすごくよかったです。
ブラック・ジャックってこんなに悩める人だったんだねぇ。

ハートフルでずっしりと重い物語なのに、随所に笑いがちりばめられていて疲れません。気持ちよく観られます。
そして正塚流の笑いがかえって根源的な悲しみにも通じ、この世のやるせなさを見せ、そこに人類愛の美しさと物語の核を浮かび上がらせます。

初見の1幕はちょっと茫然としましたが、2幕は泣けて仕方ありませんでした。

●この物語ではピノコと過ごした1年が描かれます。

といっても季節感はほぼないです。
むりやりダンスシーンを作るための「夏祭り」とかやんないの。ハリーだからな(笑)。

1幕終わりにはじめて姿を現しぶざまに倒れるピノコ。
2幕のはじめはプロテクターだらけの姿で登場。歩く練習をしています。このときはまだ下手。
その後、わしづかみでおやつを食べたり、発声が未熟なりに話したり(本人やる気なし)、手術の手伝いをしたり、はじめての旅行に浮かれたり……。

季節感はないのに、ピノコの成長に時の流れを感じるんです。

旅行は、ピノコ自身の体の問題で流れてしまうんですが、そこで自らを責める姿勢にもまた彼女の成長が見えて――泣けます。
体だけじゃなくて精神面も大きく育ってるんだ。

2人がともに過ごした時間とピノコの成長に生きていることの尊さを感じ、なぜか自分の命まで愛おしくなります。

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