『ブラック・ジャック 許されざる者への挽歌』感想・5

2022-12-02雪組公演感想,雪組

※引き続き、腐ってないけど腐ってみえるので苦手な人は注意※

これは「ブラック・ジャックがピノコと過ごした1年」の話なわけですが、それと同時に大統領警護官・トラヴィス(ほたて)と過ごした約1年の話でもあります。
同居こそしてないものの、すごく近いところに住み、ブラック・ジャックが呼べば全力で駆けつけてくるトラヴィス……。

頭もよく射撃の腕もあり優しい心を持ち命がけで守ってくれる、それでいてとってもアホかわいい人です。

某国の大統領の手術をしたことで反大統領派から命を狙われかねなくなったブラック・ジャックを護るためにトラヴィスが派遣されてきます。
ブラック・ジャックはそれを迷惑に思っているんだけど、時間と彼の性格によって距離が縮まっていきます。

彼らが出会って約1年後、ブラック・ジャックとピノコは外国で行われるバイロン侯爵の結婚式に招待されます。
侯爵から送られてきた航空券をみて「お前の分はないな」とトラヴィスをいじっていたところ、トラヴィスは帰国命令を受けていることをブラック・ジャックに告げます。

「帰国したらお前はいないのか」

悶えました。
萌えました。
これに萌えなくてなにに萌えろっつーんだというくらい、萌えました。

――いることがあたりまえだった。
嫌がってもなにしても、犬のように駆けつけて、命がけで守ってくれて、優しい笑顔をみせてくれる。
そんな相手がいなくなってしまう。

ブラック・ジャックは言葉も態度もそっけないけれど、その表情のうちに喪失のショックがありありと見えたんです。

いやー、ほんとこの話、怖いですね。
腐女子ご用達ですよ。
ブラック・ジャックさん総受けだもの。(そしてピノコが最強の攻めだと思う)
ハリー、ありがとう。
ていうかDVD欲しい。99%出ないけど。

そういう腐った方面の話はさておき、ほたては非常にうまかった。
セリフがいいし、哀感がいいし、それによってめちゃくちゃ笑わせてくる。

GPS的なものを持たせようと一生懸命になってるところは熱くてウザかわいかったなぁ。
しかも平気で故障してくれるし。
トラヴィスさん、振り回されまくり。

行儀の悪いピノコにソファーにきちんと座らせようとして落っことすところはアワアワぶりに笑ったねぇ。
そのあとの、犬を従わせるようにクッキーで呼び寄せるところもアホらしくて笑った。

「アッチョンブリケ」ばかり言うピノコになんとか名前を呼ばせようと「アッチョンブリケ、トラヴィス」と意味不明なことを言いだす場面はほんとにどうしようかと思った。
この人、頭いいけどアホだっ。

ほんとに楽しい人ですよ。
それだけに、帰国を告げる場面の悲しさったらなかった。
ブラック・ジャック先生、ピノコを連れて某国に行っちゃえばよかったのに。

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