『ブラック・ジャック 許されざる者への挽歌』感想・7
●カイトとエリ(咲奈とあゆみちゃん)のカップルの会話は、ハイパー・マサツカ・ターイム! とでも呼びたくなるようなものでした。
「ああ」「うん」「別に」系ね。
多くを語りません(笑)。
ああ、そういやブラック・ジャック先生は彼の手術代(ヤクザにやられたのと、子供のときから悪い脚)を1000万円とし、「一生かけて払え」と言ってるわけですが、これは「払い終わるまで死ぬな――、自暴自棄にならずちゃんと生きていろ」というメッセージのように思えました。
腐的な解釈をすれば「私のために生きていろ」ですね。
ああ、ブラック・ジャック先生ってばなんというオム・ファタール。
●ザッキーは「絵を描く人」くらいの認識だったのが、今回のせいで「ゴンスの人」になりました。
どの役もどの役も、語尾が「ゴンス」。
役が変わろうと立場が変わろうと、不変なのは命の尊さと彼の「ゴンス」(笑)。
いやぁおいしい役だ!
『カナリア』のジョンくらいおいしいぞ。
●アリちゃんもはじけてたなぁ。
沢先生の「Yes!」は大笑いしたわ。
こういう小さな役でもおいしいのが、今回の芝居の好きなところのひとつ。
●「ブラック・ジャックの影」は場面によってメンバーが変わります。
レオくんはやっぱり目立つわ。
●ピノコは1幕はほぼ寝ているだけなので、ピノコの影と本役を別人に振る理由というのはないといえばないのかもしれません。
ただ、ベッドに横たわっているときに彼女はブラック・ジャックの声を聞き、カイトの辛辣なセリフを聞いているわけで、そのことによってピノコがピノコたりうる成長の時間を与えているのかもしれないと思いました。
さなぎが蝶になるまでの、起爆力を得ている、と。
影ははかなげに清らかに、いかにも宝塚の娘役なピノコ。幻想ですから。
それと、ついに姿を現した本当のピノコの差(笑)。
いいなぁ。
人間ってこんなだよなぁ。
あんなに楚々として、生きていられるわけがありませんって。
ピノコは幼く、破壊的で、生命力に充ちていました。
かっとんでいて愛らしくかっこいい存在でした。
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