『ブラック・ジャック 危険な賭け』感想・1

月組全国ツアー公演『ブラック・ジャック 危険な賭け』を観てきました。
梅田芸術劇場で行われた11月20日(日)11:30と16:30の回です。
今回はれいこちゃんと海ちゃんのバージョンですが、初演版は見ていません。なのでストーリー自体ろくに知らないまま。(原作もほぼ読んでない)

かっこいい作品なんだと思う。
れいこちゃんが演じるブラック・ジャックの、医者の風上にもおけぬ男や金の亡者と言われながらも芯に持っている心の熱さや、ニヒルな反面、ときに見せるとぼけた雰囲気もすごくいい。
病院で寝るとことかピノコとのやり取りとか好きだったわ。

ブラック・ジャックが「王室の人間でもテロリストでもなんでも助ける」のは命に区別がないから。
行けとし生ける者すべてを、命を愛しているから。
命を軽んじているような破滅的なふるまいに及ぶおだちん演じるケインと対照的である。

で、「かっこいい作品」なんだが、なんというか……眠い。
意識が飛ぶ。
舞台が暗い、メリハリに欠ける、盛り上がりに欠ける。
月組らしい着実で堅実な演技は素晴らしいのだけれど、渋い人が渋い作品を演じてこの上なく渋すぎるのである。
衣装もモノクロ、セピア色系だし。

れいこちゃん、海ちゃん、おだちんというトップ3がまたいぶし銀系スターでなぁ……。きれいなんだけど。
B席で観たからいかんかったのか?

演じている人が上手くて熱意を持っていても、観客側の睡魔は強い……。
なんでこの作品を選んだんだ。
もしかしたらテレビで見たらちょうどよかったりするのかしら。

とはいえ、英国情報部中尉・アイリスの海ちゃんははまり役。
お姫様系統よりクールなインテリやプロフェッショナルとしてハードに働く女性が似合うんである。
銃を構えるしぐさもかっこいいわ~~~!

おだちん・ケインと恋人だったという過去はあまりピンとこない。

あと、日本人の如月恵と瓜二つ設定ってあるもんだろうか。
日本人とイギリス人じゃろ?人種が違いすぎんか。

おだちんのケインは体に「爆弾」を抱えて生きる男。
賭け屋をやって命を狙われるという無茶な生き方に、彼の虚無を見る。

アイリスを失いかけての「惚れてるさ」のかっこよさ。
こういう地に足のついたような、あまり夢々しくない感じの男の人がしっくりくるのがおだちんだなぁ。

ブラック・ジャックの影は若様こと一輝くん。
いい役だなぁ。劇団の期待をひしひしと感じる。
れいこちゃんとあまり似てないけど、「若き日のブラック・ジャック」みたいな感じと思えばいいのかしら。

そう思ったのは、舞台最初のほうで歌った「かわらぬ思い」はれいこちゃん(ブラック・ジャック本人)と若様(影)のデュエットのような形で、終わりはれいこちゃんのソロだったから。
如月恵への想いを残しているブラック・ジャックと、そこからは一段階上がった彼の姿が歌に現れているのかなと。

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