NHKで放送された『昭和元禄落語心中』を見ました。
放送は年の瀬の夜、2025年12月30日(火) 22:30~25:20です。原作は未読。
夜中の放送でもあり、ぜったいに途中で疲れて寝ると思ってました。体力ないし。
それが、面白すぎて最後まで見てしまいました。
なんといっても配役がいいねぇ。さらに音楽も、歌も、時代で変わるファッションも楽しい。
落語は元から好き。あれもすごい一人芝居ですよね。
助六の山崎育三郎さん、みよ吉の明日海りおさん、八雲の古川雄大さんの三人がメインキャストですよね。
3名とも現在の日本のミュージカル界をしょって立つ実力者にして人気者。
きれいで、歌も芝居も上手くて華があって、役の人生が見える。
よくこの3人を揃えたなぁ……!
八雲(菊比古)
物語の中心にくるのは古川さん演じる八雲(菊比古)かな。
花街の生まれで、少年時代に脚をケガしたことから踊りの道を断念し落語家の七代目八雲に預けられる。
本人には「親に捨てられた」という気持ちがあり、生来の生真面目な性質もあって、暗く陰気である。
とはいえ、暗い色気と美貌が気難しい文学青年の趣もあって魅力的。そりゃモテますよね。
神経質で繊細で、助六に対する嫉妬と羨望にこちらの心が焼かれるよう。
生活費をかせぐための銀座でのボーイ姿の美しさはさすが。
年老いての姿や声色もよくて、こういうのも演技力ですよね。
八雲の話し言葉には桂歌丸を思い出しました。
歌丸師匠も花街(遊女屋)の生まれですから、話し方のモデルになってたりするのかな。もっとも歌丸さんは遊女屋の坊ちゃんということで子どもの頃はちやほやされてたようです。
助六(初太郎)
山崎さん演じる助六は明るい。声も強い、顔も強い。
強烈な華やかさと濃さと活力のある、彼の落語の渦に巻き込まれるのもさもありなん。観客をつかんで飲み込んでいく。
八雲と同日に入門していっしょに育った落語家ながら、入門まで自力で生き抜いてきただけの生命力と、自堕落さと、そして光の裏面のような危うさがある。
助六を見て、昔読んだ戦後の身寄りのない子どもたちの本を思い出した。子どもたちだけで身を寄せ合って暮らし、かっぱらいをしたり物を拾ったりして生き抜いてきても、あるときふと「疲れた」と川に身を投げる子は珍しくなかった――というのがあって、そういう危うさを助六に感じた。
みよ吉
みよ吉役はヅカファンにはおなじみのみりお。
といって、外部の公演は金銭的にも時間的にもなかなか手が出ないのでお久しぶりでもあります。
宝塚現役時代から美貌の人であり、さらに芝居の細かさは群を抜く。
戦時中の満州での芸者姿のあでやかさ、日本に帰ってきてからの洋装、日舞の稽古、生活のために地元に戻ってホステスをする姿など、いろんな服装を時代の流れとともに見られたのも眼福でした。
八雲に振られたみよ吉が、破門された助六と傷をなめ合うように駆け落ちするのは、なんかわかる気がする。
心変わりがとかじゃなくて、そうとしか生きられない感じが。
昔は「美人に生まれりゃ女は人生イージーモード」と言われたけど、実際のところは美貌に振り回されることもあるよね。搾取されたりさ。
みよ吉も生来の美貌ゆえに苦労したり都合よく扱われたりしたんだろうな、と。
その他
アンサンブルメンバーにはかなり宝塚OGがいたんですね。
あとからキャストを見てわかりました。
宝塚出身だと、歌もダンスも日舞もできるし、着物の着付けもできるしでこういう舞台では重宝ですよね。
あと、七代目八雲役の中村梅雀さん。めちゃくちゃよかった。
舞台が締まりますわ。

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