千秋楽の黒い涙

宝塚一般

「千秋楽舞台挨拶コレクション2020 ~part2~」を見ました。
2020年の千秋楽舞台挨拶をまとめた千秋楽舞台挨拶集のうちの一つなんですが、何回見ても泣ける。

しょっぱなが『はいからさんが通る』ムラ楽なんですよ。

あの、何度も何度も延期になり、公演が始まっても中止になり、新公も行われず、新公ステージトークも当然中止となった花組です。
複数の公演関係者に新型コロナウイルス陽性が確認されてニュースにもなり、公演再開のために演出の変更などいろんな手はずを整えて……。
ジェンヌさんも、劇団関係者も、ファンも、とても辛かった日々を思いだします。

どの組も新型コロナウイルス禍の影響はありましたが、一際強く、前面から影響を受けたのが花組だったと思います。

だから挨拶をするかれーちゃんが、涙をこらえているのがわかる。
かすれて震える涙声が胸にくる。
黒い涙が目に焼き付く。

こんなに感極まっているかれーちゃんを見ることって普段ないから。

舞台に上がれることのありがたさをつくづく思い知ることになったと語るかれーちゃん。
「苦しさ、悲しさ、悔しさ、申し訳なさ……それらの凍り付いた心をお客様が溶かしてくださいました」と絞り出すように言う。
宝塚のトップさんにこんなに痛々しい顔をさせる世界はもう二度とありませんように。

梅芸『炎のボレロ』の咲ちゃん、『FLYING SAPA』の真風も必死で一生懸命だ。
神経を張り詰めて公演していたのを思い出す。
どれもが、いつ中止になるかもわからない公演だった。

コロナ禍で客席とのふれあいができないという状況にまだ慣れていなくて、それでもなんとか互いの心をつないでいようとしていた。
お客に声を出させないまま、なんとかコミュニケーションを取ろうと試みていた。

「明日からは一生懸命生きていこう」と劇中のセリフを使って拳を高く掲げた咲ちゃん。

感謝の想いを真摯に語る真風と、表情を凍らせることで涙をこらえるキキちゃん。

プレさよなら『NOW ZOOM ME』で完全燃焼しただいもんは、ファンで埋まった空間を明るく染める。
翔ちゃんをまきこんでエンターテイナーを全うしてましたね。

『眩耀の谷』東京楽で涙を交えながらほっとした風情を見せるこっちゃんと、大きなブーケを持った晴れやかな表情のみつる。
恩義ある人を送り出す側としての義務を果たした安堵感もあったことでしょう。

バウコンでコミカルに客席と愛のやりとりをするカチャ。

初舞台生を迎えた月組は、彼女らが見えるようにと組子がしゃがむ。初舞台も遅れていたもんね。
ようやくの、めでたい初舞台でした。

力強くファンを鼓舞するたまちゃん。
「皆様も安心してください、わたくしは幸せです、楽しいです。だから皆様、宝塚は変わりません、揺らぎません、ここにいます。私たちもタカラジェンヌとして存在しています。なので笑顔でいましょう。また次に笑顔でお会いしたいです。」
という言葉の力強さと温かさは特筆すべきもの。

たまちゃんが「揺るがない」というのだから揺るがないのだ。
「ここにいる」と宣言してくれたのだから、宝塚ファンはそれを信じるのだ。

今から1年半ほど前のこと。
遠い昔のようにも思える。

もうあんなに不安な日々は起こりませんように。

千秋楽舞台挨拶コレクション2020 ~part2~ | 動画配信/レンタル | 楽天TV

千秋楽舞台挨拶コレクション2020 ~part2~(宝塚・舞台-宝塚 舞台)のネット動画配信。あらすじ、キャスト・スタッフ、予告編などの情報もご紹介!動画視聴で楽天ポイントが貯まる楽天TV(Rakuten TV)!

4

宝塚一般

Posted by ゆきたろ