宙全ツ『バレンシアの熱い花』感想・2
宙組全国ツアー公演『バレンシアの熱い花』梅芸での感想の続き。
●柴田作品の良さの一つは、言葉に格調があること。
それは「そんな言葉聞いたことない」「聞いたことあるけど使わない」ということにもつながりますが、現代を舞台にした作品でもなし、登場人物が庶民ばかりなわけでもなし、作品の空気を作る要素の一つとなっています。
「あえかに光る 紫のしずく」――『瞳の中の宝石』の中のロドリーゴが歌う箇所ですが、「あえかに」とか生まれてこのかた使ったことねぇ―――!!
使ったことないけどなんか素敵ぃぃぃ―――!!
ああ文学の香り……。
と、現実世界を忘れてうっとりできます。
●柴田作品なので役がたくさん。
ヒロイン格の娘役さんは3人もいます。
こういうふうに、娘役さんに光が当たる公演は嬉しいです。
今回はなんといってもシルヴィアのららちゃん。
ロドリーゴに心を残しながら心ならずも彼の伯父と結婚する若妻。
たおやかで、優雅で、若さと一途さも見せて、最高でした。
ロドリーゴを追って出てくる登場シーン、シルヴィアの非をなじる彼に切々と訴えかけるところ。
夜会でロドリーゴと踊るうちに、表情や雰囲気がどんどん変わっていくところ。
たおやかなダンス。
主の臥所へ(この言葉もすごいな)つながる扉を開け、悲劇的な最期につながる覚悟を匂わせる歌。
どれも素敵。
ららちゃんはロドリーゴ役のあっきーに対してまさしく「あえかに」光っていました。
身体の使い方もよかったし、嫋々たる雰囲気も視線の使い方も、まさに若くか弱い貴婦人。
そしてなんといってもセリフの声の振るわせ方がシルヴィアの薄幸の佳人ぶりを表現していました。
とってもよろめいてます。
(機会があったらトゥールベル夫人やってほしいなぁ)
ザ・娘役の力をみました。
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