宙全ツ『バレンシアの熱い花』感想・1

2022-11-26宙組公演感想,宙組

宙組全国ツアー公演『バレンシアの熱い花』梅芸の11月19日(土)をダブルでと、20日(日)16:30の回を観てきました。

image

『バレンシアの熱い花』は、タニオカさん主演の宙組の大劇版はナマで観たような気がする……(でも自信がない)。
ただ、役替わりがどうだったかも覚えてないからもしかしたら現地で観てないのかもしれない。あの頃は今ほど壊れたように観劇してなかったし。

(※過去記事検索したら3回観ていたようです。しっかり観てるんじゃん)

あ、DVDはアホほど観た。

というわけで、感想の基準は2007年の宙組版になります。

●フェルナンド・デルバレスのまぁくんが、すっごいまとも。
あーまともな人だー。
明るさの中に翳りがちゃんとあるフェルナンドだ。
(●▽●)さんバージョンだと翳りナニソレ状態だったもんなぁ。あれはあれで(ネタ的に)面白かったけど。

「甘い歌」もまぁくんだとちゃんと「甘い歌」だ。
ツッコミどころがない!
――と思ったけど、帰還してすぐまっぷーレオン将軍のところでのまずは一杯の早さはちょっと面白かった。
(しかしいかにもプラカップな音はいただけないぜ)

フェルナンドの、遊蕩している貴族のふりをしながらその実めっちゃまじめ、というキャラはまぁくんにしっくりきてました。
私のまぁくん観がほぼそうだからなんだと思う。
チャラ男で売ってるけど、元々の本人の性格的にはそうじゃないよね?的な。いや、勝手にそう思ってるだけですが。

両手に花というかなんというかな人でもあるんですが、そこは演じる人の腕次第。
イサベラに対する情熱も、マルガリータを捨てられない生真面目さも、まぁくんなら頷ける。
マルガリータがいい子だから捨てるに忍びないというのもあるし、フェルナンドが貴族としての責務をしっかり担いそうだからというのもある。

この2人のヒロインに対しての態度を納得させてくれたのがよかった。

●真風ラモン。

浅黒くてかっこいいです。開襟すげぇ。
ビジュアルで熱さと色気をふりまいてます。

が、しゃべるとどこかおっとりまったりしてる。真風だから。

主にイサベラがらみで江戸っ子のように啖呵を切るところと、「3人で憎むべき敵を倒そう」と誘われてのらりくらりかわすところの差が私にはしっくりこなかった。
真風の言い回しだとのらくらが時代劇の田舎者っぽくてなぁ。
あるいは風共の黒人奴隷的な感じ。
もし江戸っ子的に啖呵を切るなら、のらくらかわすのも江戸っ子的にやってほしい。

ただ、この「しっくりこない」感は、蘭寿さん(あるいはみっちゃん)の言い回しが染みついてるからかもしれない。

どうでもいい話ですが、妹の件で彼も作戦に参加することになるんだけど、どうやってお揃いの衣装をあつらえたのか気になっている。(9年越しの謎)

●あっきーロドリーゴは、感じが悪いほどの貴族性が面白かった。

しょっぱな、めっちゃ拗ねてます。
ららシルヴィアが伯父の妻になってることに拗ねて、めっちゃ冷たく当たります。
あっきーのお貴族様感が、特にラモンとの色の違いになって舞台に膨らみを与えていました。

座っても飲んでも何かを見ても、全てが貴族的な動きでさすが研12だなぁ、と。

でもお坊ちゃんでいいお育ちだから、ずっと感じが悪いわけじゃないのね。
下町に暮らすラモンに対してもイサベラに対してもきちんと遇する節度がある。

また、冷ややかな空気をまといながらも、シルヴィアに対する熱と、そこからくるルカノールに対する憎しみの強さが印象的でした。
氷の中に隠された炎っていいなぁ。

ただ、あっきーの「シ」の発声が気になって仕方なかった。S音が耳に障る。
もう少しどうにかならないかなぁ。
「シルヴィア」「愛している」など、彼は特に「シ」を使ったセリフや歌詞が多くて……。

演技はともかくとして、真風のせりふ回しとあっきーの滑舌が気になったぶんだけ、まぁくんのセリフって聞きやすいんだなと今さらながら気づきました。

1