星全ツ版『バレンシアの熱い花』感想・1

2023-04-14星組公演感想,星組,専科

専科のカチャ主演の星組全国ツアー公演『バレンシアの熱い花』『パッション・ダムール・アゲイン!』を観てきました。

今回は梅芸で初日明けの月曜に2回と、日曜に福岡でのライブ配信を見ました。

『バレンシアの熱い花』は宙組タニウメ版(大劇場で観たかもしれないけど定かでない、DVDは繰り返し見た)と、宙全ツのまぁうらら版は観てます。

最初に刷り込まれてるのがタニオカさんバージョンなので、「侯爵、聴かせて、甘い歌」にヒヤヒヤしなくていいのが変な気がしますね(笑)。
カチャだとちゃんと「甘い歌」なんだもんね。
(初演が歌ウマさんなんでしたっけ)

『バレンシアの熱い花』は古い作品で、なにせ初演が1976年。ヅカファンの半分くらいは生まれる前かな?
19世紀初頭を舞台にしているという設定上の「昔」な部分に加え、現代と上演当時の空気感や価値観とのずれも感じる作品です。
良くも悪くも「古き」宝塚の匂いが残っています。

柴田作品にある、とくにセリフの持つ香気、人間模様の切なさを宝塚歌舞伎的に見せてくれます。
ホルヘ(まいける)とドンファン・カルデロ(天飛)の関係なんか、特に歌舞伎的。
これはこれで面白い。

時代の変化か私の年齢のせいか、男性陣への見方はだいぶ変わりましたね。
タニオカさんのころ(私も若かった)は、フェルナンドもラモンもロドリーゴもそれぞれ違った良さを感じていました。
でも今はラモン一択ですわ……。
何度イサベラに「ラモンにしとけ!!」と言いたくなったことか。いや、そうは言っても恋だからさぁ……ってのもわかるんだけど。

清らかで純粋で辛抱強くて笑顔の婚約者(マルガリータ)がいるから、父の仇を討ったあとは分かれるしかないと酒場の踊り子・イサベラに告げる主人公・フェルナンド。
実際のところ、そこでイサベラへの想いゆえに野に下ったり駆け落ちされたりしても困るわけです。そうなったらマルガリータが可哀想すぎるし。

だが、だからと言って。

ずっと自分を信じて待ってる純真な婚約者(マルガリータ)がいて彼女を裏切れないから復讐のあかつきには別れる、でも君のことは本気で愛していたと伝えるのは誠実なのかどうかと悩ましいわ。

さらにラスト、イサベラをラモンに託したあとに抱きしめたりキスしたり。
フェルナンドよ、お前って男は……。

男のロマンなんでしょうね。たぶん。
男じゃないから(さらには柴田先生でもないから)知らんけど。

と、現代視点ではツッコミを入れざるを得ない主人公を、きれいに宝塚の様式で見せてくれるのがカチャなわけです。
あくまで凛々しく美しく、主人公なりの誠実さを体現できるカチャは、さすがの専科、さすがのタカラヅカオタク、研究科21年でした。

カチャなこのキスシーン、顔が近すぎて…!
キスシーンの上手さもさすがの研21。

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