『ザ・ジェントル・ライアー』を見たんだ・1

2022-02-24星組公演感想,星組

せおっち主演の星組KAAT神奈川芸術劇場公演『ザ・ジェントル・ライアー ~英国的、紳士と淑女のゲーム~』のライブ配信を見ました。
2月23日(水・祝)15:30の回です。
新型コロナの影響でバウ公演は全部なくなったけれどKAAT公演だけでもできてよかった……!

今作のヒロイン

ポスターはせおっちのひとり写り、公演プログラムや公式サイトの配役表でもヒロインらしい特別扱いの娘役はいません。
なので、今回はヒロインなしということでしょう。

ただ、公演解説などからするに、「ヒロイン格」と呼んで差し支えなさそうな娘役は3人。

ローラ・チーヴリー役のりら様(はるこちゃんの代役)。
ガートルード・チルターンのほのか。
メイベル・チルターンの詩ちゃん。

路線娘役としての扱いに直結する正ヒロインは置かないけれど、本来はトリプルヒロインみたいな感じだったのかな、と。

芝居のあとに行われたフィナーレでは、飾りつきのドレスでせおっちと絡むのはほのか、ゆりちゃん、詩ちゃんの3人。
フィナーレだけはるこの代役がゆりちゃんだってことかと思います。きれいで眼福でした。
はるこの代役がすべてりら様だと大変すぎるしね。

パレードは学年順に出たあとで詩ちゃん、ほのか、りら様、あかさん、せおっちの順で登場。
ここでも「ヒロインはいません」という扱い。

ただ、ストーリー的には正ヒロインはメイベルの詩ちゃんでしょう。
正ヒロインを置かない扱いなのは、月組から異動して早々の東上ヒロインはちょっと……という人事的な配慮もあるのかな。

ヒロイン①チーヴリー夫人

公演できたとはいえ休演者もいて、そのうちの一人がはるこちゃん。(もう1人はあまじぃ)
研いくつだっけな学年(しかも高卒)にして、いまだ衰えぬ美貌と演技力と娘役スキルを備えた上級生娘役です。
星組では上から4番目だから幹部部屋入りしてるのね。

はるこは本来はローラ・チーヴリー夫人役。
悪女ですが、今作ではトリプルヒロインのうちの一人と呼んで差し支えないでしょう。

そのはるこの休演にともない、代役としてチーヴリー夫人を演じたのがりら様。
主演せおっちと同期ということは研究科13年目かな。
代役とはいえ、今回がおそらく初ヒロインのはずです。

もともとスキルが高く、歌も芝居もダンスもできる人。
舞台で積み重ねた経験もあります。大人っぽい役も可愛らしい役も演じられる。
おそらくほとんど稽古もできないまま、今作のチーヴリー夫人役に挑んだのではないかと思われますが、急な代役とは思えないほどの完成度でした。

悪女ぶりの奥にほのかに見せるせおっちアーサーへの執心。
安定したセリフ回しに表情などの的確さはさすがのものです。

ただ、私はこの役が元々ははるこのものだと知っていて、そして宝塚の舞台でのヒロイン格としてとらえている。
その前情報のために、りら様の舞台人としてのスキルや貢献を横に、りら様チーヴリー夫人をそのまま受け止めることはできないのでした。

観るのは叶いませんでしたが、ローラ・チーヴリー夫人をはるこちゃんが演じたらさぞかし美しく迫力のある黒いヒロインだったことでしょう。
せおっちアーサーの元婚約者で、アーサーがかつて想いをかけていたのにふさわしい美女。
そしてあかさんロバートとよからぬ仲なのではないかとガートルードがあらぬ疑いをかけるのもやむを得ないような。
さらには、その美貌と野心と知性で各界の名士たちを手玉に取っても納得せざるを得ないような。

りら様には残念ながらはるこほどの美貌がない。
ヒロイン経験もない。
悪女を前面に出した役作りのチーヴリー夫人はとてもいい出来でしたが、ヒロインというよりはキーパーソンに見えました。

毒々しいまでのメイクやかつらが、非ヒロイン的なものを狙ったかどうかはわかりません。
ただ、演じる人によって役の見え方は変わるよね、なんてことを思いました。

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