たまちゃん主演の月組バウホール公演『幽霊刑事(デカ)』3月20日(土)15:30の回を見ました。
自宅で見られるライブ配信、ありがたい。
あらかじめ原作本は読んであったので話の流れはスムーズにわかりました。
けっこう登場人物いるし、推理ものだからねぇ。
⇓ ⇓ ⇓ これ、原作本を読んだときにまとめたやつ。 ⇓ ⇓
『幽霊刑事』の登場人物 | 花園に雪が舞う・α (hanazono.info)
宝塚の舞台版、ちゃんとわかりやすくまとまってたと思います。
月組生がちゃんとキャラを立てて的確に演じてたし。
原作での不安だったところは、まぁなんせ作・演出がダーイシだから……マシになったかと思ったら「そうじゃねぇ!」となったり、余計なもん付け加えられてたりで……。ええ。ダーイシでした。
漆原夏美警部補(はーちゃん)をセクシー系の「フェミニスト」呼ばわりしなくなったのはよかったけど、「制服着てないとふつうのおばさん」みたいなこと言われるのもな……。
結局は女性を性的に評価対象にするのを裏返しにしただけじゃねぇかっていう。
なんかもう、すっげぇ余計なお世話だよとしか思えませんでした。
ダーイシのダーイシ的な「うわぁ……」な部分はほかにも。
最初のほう、テーマソングなのかな、たまちゃん演じる神崎が死んじゃって歌う歌詞がしょっぱなから「君の柔肌さわれない」的なものだったのが……。
ああ、日本の壮年男性(の一部)ってこんなもんかしらねぇ、と辛いものがありました。
イヤだな、「柔肌」とかいう20代男子。
海辺のレストランで食事をしたあと。
早川(ちなつ)が須磨子(あまし)に神崎と並んでいる姿をどう思うか聞かれて、「同伴出勤」とか言い出すのも引いたわ……。
なんでそこで水商売とか風俗的な匂いを入れるかな。
あの時代(平成初期から半ばくらい?)で男社会のキツイ警察ならそういう冗談が出ても全くおかしくないし、たぶんリアリティがありすぎるくらいなんだと思う。
でも、それを狙ったわけじゃないよね? 早川、そういうイヤな感じのキャラに描かれてないんだし。
あと、「窯仲間」(?)なうんちくとかも、いつもの居酒屋みたいな感じでした。
いらんて。
原作にはいないキャラ・天乃愛(りり)もなんのために出したのか今一つわからず。
もちろん、こじつけに近い推測はできるんですよ。
原作での逆さ言葉みたいなの(神崎と須磨子の暗号)を手話にして絵的に見せやすくしたかったのかなとか。
「死=サヨナラは必ずしもさみしくないよ」的なことを、死んで話せるようになった愛を通じて見せたかったのかなとか。
(そして退団だからってさみしくないよ的な……)
「切手のないおくりもの」の歌も、あれをデートのカラオケで歌う20代男子の気持ちがわからん。
原作準拠でいえば、神崎は1970年生まれ。
「切手~」は1977年発表の歌。
盛り上がる系でもない懐メロをカラオケで歌う男子の気持ちやいかに。選曲が渋すぎんか。
これももちろんこじつけはできるんですよ。
「広い世界にたった一人の 私の好きなあなたへ」を神崎から須磨子に、
「寂しいときに歌ってほしい 遠い空からこの歌を」をたまちゃんから宝塚ファンに向けての歌として、と聞けるからと。
こじつければわかるんだけど、こじつけないといかんものってどうよ。
と、いろいろとツッコミどころやら「ちょっとなぁ……」と思うところがありすぎましたが、
結局のところは月組生の芝居が上手いからなんとかなってた気がします。
芝居上手いし、テンポいいし。
話運びのテンポの良さとかキャッチ―さ、気楽に見られる雰囲気はダーイシの良さでもあるしね。
コメント
記事興味深く拝読させていただきました。
一回のみの観劇で矛盾点を追及するのはなかなか難しいと思いますが、さすがに黙っていられないのでコメントします。
オリキャラの天乃愛を登場させたのはラストシーン近くの神崎と須磨子の手話のためです。原作を読まれていれば相違点が当然お分かりになるような気がしますが。なぜ手話が必要なのかまで説明する必要はありませんよね。
正直ライビュは話を追うためだけに見るものであって一回こっきりで作品を批評するのはかなり難しいと思います。
今回のようなミステリー作品の場合は特に。
石田先生の作品は好みが分かれるのかもしれませんが、理解力不足が原因の批判は残念に思います。劇団の発表とも合わせてお考えになられるとよろしいかと。