映画『国宝』

映画『国宝』を見てきました。
映画自体、見るの久しぶりだなぁ。

SNSを見る限り大ヒットで都会では席も相当に埋まっているとのこと。
原作が特別有名でもなく、アイドルでテコ入れするでもなく、ファミリー向け、デート向けでもなく、日本アニメでもなく、内容は難しそう……と大ヒットを予測させる要因がほぼないのにここまで売れてるのがすごい。

私が見たのは平日の午前。
福井は県庁所在地とはいえさほど文化・芸術的な方面に消費欲が高い地域ではない。
だからざっと30席くらいしか客入りがなかったのだけど、むしろ平日の午前でこれだけお客がいるのにびっくりした。
福井だとこの日時ならお客が片手程度とか、ザラよ? 場合によっては貸切状態だ。

ふだんテレビも映画も見ないので、俳優さんにはあまり詳しくない。
でも吉沢亮は知ってた。
『キングダム』(たぶん第1作)で「この人やたらに顔がきれいなのに、芝居が滅法上手いのなんなんだ……」とびびり倒していたからだ。
天は二物を与えずってウソだよな……というのは宝塚でさんざん存じておりますが、吉沢亮もそれである。

喜久雄・東一郎/吉沢亮

吉沢亮が、とてつもなく美しく、凄まじい役者である。
なんなんでしょうね、この役に埋没し、血の奥底から役になってしまい、回りを巻き込むような存在感は。
底知れない。

ヤクザの家に生まれ、目の前で父を殺され、敵討ちをしくじったのちに半二郎に引き取られる。
父の死に際の鮮血が、彼の中には常に宿っている。敵討ちをしようというほどの青い炎もまた、静かな顔の奥底に息づく。

花井半二郎は「血」ではなく「芸」をとって喜久雄に代役を務めさせ、実子・俊介が失踪後は襲名もさせる。
しかし舞台上で倒れて呼ぶのは息子の名前であるというやりきれなさ。

後ろ盾を失っての失墜のさま、そしてドサ回り、温泉場でなお芸を磨いていき、究極の女形になる。

俊介・半二郎/横浜流星

御曹司として生まれ「俊ぼん」と呼ばれ育ったがゆえの、傲慢と紙一重の愛嬌。
出会いの場面では「イヤや」と言いつつ親友となり、一緒に稽古を受け、一緒に遊ぶ、飲む。

「血」と「芸」の映画で、「血」の部分を引き受け、でも「芸」の東一郎に敗れて一時は去っていく。

吉沢亮ありきの映画で、その相手役を受けられるというのもすごいことだ。

小野川万菊/田中泯

怖い、なんという役者か。

以前、田中泯のドキュメンタリー映画をメトロ劇場で見たのでダンサーというのは知っていた。

喜久雄を「おいで」と呼ぶ手つきだけでもう怖い。
その上に「きれいな顔」「邪魔も邪魔、そのきれいさが邪魔をする」と吉沢亮に言うすさまじさ。
でもこの言葉があっての、喜久雄の芸の高みなんだろう。

福田春江/高畑充希

喜久雄といっしょに背中に刺青をし、喜久雄を追って上阪し、俊介に心変わりする。
喜久雄が「曾根崎心中」代役をつとめたときに傷ついた俊介を追っていく。
このどうしようもない感じはわかる気がする。
理性ではないものってあるから。

吾妻千五郎/中村鴈治郎 

松竹座公演でちょいちょい見る愉快な顔のおじさんだ(失礼)……と思ったら、これがまたコワイ。
歌舞伎の裏の世界のイヤァ~~~~な感じを出しつつ喜久雄に立ちはだかる。

芝居の役以外のところでもすごくこの映画に貢献なさったそうで、ありがたいことです。

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