サバイバル

自分語り

7週連続で観劇したせいか「文字、文字を読ませろ――!!」状態になってました。
美術セットとか耳から聞くセリフとか音楽とかにはお腹いっぱいだから。
文字を、文字をくれ!と。

で、最近読んで面白かったもの。

角川文庫から出ている『たった独りの引き揚げ隊』。石村博子氏著。
ビクトル古賀(ご存知?)の少年時代の話です。

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彼はサムライとコサックの血を引く日露ハーフです。
10歳のときに満州からたった一人で日本に引き揚げます。ほぼ徒歩で。
終戦後の引き揚げはとても大変なイメージで、この本も暗いんだろうなぁと思ったのですが、予想外に楽しめました。

1人で旅をするのでいろんな災厄から身を守らねばなりません。
平時でも大変なのに、彼が引き揚げたのは終戦直後なのですからどれだけ用心しても足りません。

病気にならないようにするにはどうするか。
食料・水の確保はどうするか。
虫よけの方法。
獣から襲われないためには。
盗賊から身を守るためには。
自分を助けてくれるであろうロシア人家庭の見つけ方。

彼のサバイバル術がすごいんです。
コサックとして育ったがゆえの知識や経験が日本まで彼を支えました。

飲める水かどうかの判別とか、煙の違いで住んでいる人が何人か見分けるとか、音と匂いで川のありかを探すとか何川か判別するとか、ほんとすごすぎ。

実際血なまぐさいところや悲しいところ、殺伐とした戦後の雰囲気なども描かれているのですが、なにせビクトルがとても明るくて強いんです。
ふつうに育った日本人にはない強さです。
旅行記というか冒険譚というか、な雰囲気の本でした。

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