『Le Grand Escalier -ル・グラン・エスカリエ-』感想・1

2024-06-24宙組公演感想,宙組

宝塚大劇場で上演中の宙組特別公演『Le Grand Escalier -ル・グラン・エスカリエ-』を観てきました。
まずは6月22日(土)15:30の回です。

雑感

最初の感想としては、セットがきちんとしたタカスペ。
名場面詰め合わせ、でもセットがきちんとしていてセリ・盆などもフルに使ってるからショー作品としても成立している。
とても面白かったです。

そして終盤にかけては宙組再開への祈りと決意、でしょうか。
どうしても、9ヶ月ものあいだ公演停止せざるを得なかったあの事件はなかったことにはならない。風化させてもいけない。
それらを宝塚の、特に宙組の名曲と、宝塚の歴史を示す映像(代表作に『翼の決戦』が入ってたのは驚いたわ)とともに見せる。

キキちゃんが歌う「愛の旅立ち」の中に「たとえ命尽きるとも」という部分があるんですが、宙組においては「命」はセンシティブな話題。
触れないようにすべきとは思わないけれど、ついどうしても「あの子は亡くなってしまった」と思い出してしまう。
歌詞の文脈はまったく違うのは承知していても、まだまだ心臓がギュッとなります。
こんな状態でなく、通常の公演としてこの作品を観たかったなぁ。

ただ、すべてを忘れて楽しむ必要はないと思ってますし、こういう感情を抱きながら私は劇場に通うのでしょう。

続くずんちゃんの「セ・マニフィーク」がこちらの感傷を吹き飛ばしてくれるほどに力強くて助かりました。

はるさくちゃんの話

そしてそのあとのはるさくちゃんの「夢を売る妖精」。これがまた素晴らしかった。

まさにタカラジェンヌは夢を売る妖精。
それを体現するようなはるさくちゃんのパフォーマンスでした。
しかもはるさくちゃんはトップ娘役として(イレギュラー人事だろうと思ってますが)、その職責を全うし、舞台を務め上げることへの覚悟を感じさせました。
勁い、とても勁い、娘役さんだと思います。

今回の公演で一番印象に残ったのがはるさくちゃんでした。

私はプレお披露目の『エクスカリバー』も大劇場お披露目の『PAGAD』も見られなかったので、彼女を見るのは1年ぶりくらい。
『カジノ・ロワイヤル』や『カルト・ワイン』などで彼女の舞台は見たことがありますが、立ち位置も経験値も責任も今よりは格段に軽い。
娘役の真ん中に立つ彼女は、今まで知らなかったほどのパッションを出してきました。

昨年亡くなった娘役さんは1期違いで、宙組でずっと娘役としていっしょに育ってきて、出身地も同じである。
今、どんな気持ちで舞台に立っているんだろう――という考えも頭をよぎりましたが、あまりにも「真ん中」の仕事をしているはるさくちゃんに吸い寄せられずにいられませんでした。

すごかったんですよ。
宝塚が、特に宙組が世間やファンからどんな視線を向けられているか彼女が知らないわけがない。
そんな中で「夢を売るフェアリー」であり「宙組娘役の頂点」という重責を全うしようとしている覚悟がひたすらにかっこよかった。
はるさくちゃんのショースターぶりに賞賛を送りたいです。しかも実力もあるしスタイルもいいし。
彼女が宙組のトップ娘役に就任してくれてよかった。

こってぃの話

もうひとつ、今作で一番ツボに入ったのはこってぃ。

『BLUE MOON BLUE』の蛇役(元はリカさんがやってたはず。まだ見てない)なんですが、めちゃくちゃハマりすぎ。
こってぃの陰性の華と色気が爆発してすごかった。こういうぬるぬるしたの似合う~~~~~!!

蛇だから基本的にはずっと踊ってるんですが、途中、

歌うんかい!
声でかっっ!
声、でっかっっ!!

と心の中でなぜか大笑いさせていただきました。いや、蛇が歌うと思ってなかったもんで。
もちろん歌は上手かったんですが、歌い出したことと声の大きさの衝撃のほうが勝ってしまいました。

そして中詰みたいなところのポンポン。
「サザンクロス・レビュー」の本舞台の男役さんたちはちゃんとポンポンで踊る明るい場面に見えるのに、こってぃだとなぜか同じものに見えない……。ポンポンじゃない、なにかもっといやらしいものに見える(失礼)。

あれだ、こってぃだとマラボーのほうが似合う。
肩からかけたマラボー振りながら踊ってほしい。

パレードでのこってぃの4番手らしい肩掛け羽根は非常にお似合いでした。

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