
花組大劇場公演『蒼月抄』の感想の続き。
2月14日(土)13時公演(初日)と、翌15日(日)15時30分の公演を観てきました。
ありがたいことに東京公演をマチソワで友の会が当ててくれたので、あと2回は観る予定です。それと配信かな。
私、なんでか東京の当選率が高い気がする。遠くて遠征費用かかるからあんまり申し込まないんだけど(旅費がムラの倍くらいかかるのよ)。
あと花組も当たり率高い気がする。ちゃんと計算したわけじゃないけどさ。
脚本について
『蒼月抄』は全般的には面白かったんだけど、ちょっと引っかかるところもある。
花組『蒼月抄』は平清盛の息子・知盛を主人公にした話。
・南都焼討ち
・一ノ谷の戦い
・壇ノ浦の戦い
を中心に据えてあります。
作・演出が熊倉センセイなので、人物の書き込みとか物語の深さとかは薄めで、平家物語ダイジェストのおもむき。
でも上手く花組生に役を宛てて、迫力ある演出で魅せたなぁと。
一ノ谷の戦いの、大階段を使った鹿ケ谷の演出が最大の見せ場でしょうが、冒頭の海から波のダンスは見ごたえがありました。
脚本はもうちょっとなんとかなりそうなもの……。
熊倉センセイが文学系の人じゃないんだろうなー。
海の近くに都を移し、壇ノ浦で滅んだ平家でもあるのだし、「船」を一貫したモチーフとして使えそうなのになと惜しかった。
・冒頭の四条局と後高倉上皇の舟で語り合うシーン(ここから回想につながる)
・父・清盛への敬意として「外国に渡る」夢を持つ主人公(回想での少年時代には月船のような雰囲気もある)
・清盛の死とともに平家の勢いが衰え、船戦で敗れ、夢潰える
このへんで流れを作ると、観客側の心情をもうちょっと動かせる気がする。
あと冒頭の船頭を演じてるのがきわみくんなんだけど、あえて彼であるという理由がしっくりくるといいな。
現状だと、組替えご祝儀とか顔見せとか観客へのサプライズ要素以上のものが見当たらず。
きわみくんの船頭、すごくいいんですけどね。
ところで、いつの間にか船頭消えてたら怖いやろ……誰が漕ぐのその船。
「後の世に語り伝えよう」とか言い出すから三途の川かと思った。
あるいは西方浄土へと向かう船かと。
平家の道行
観客は平家が滅びることは知っているうえで観劇している。
だから、平家が源氏との交渉に応じず、最後は海に散るのも承知している。
さて、一ノ谷の戦いで平家軍は散り散りとなり、三種の神器と重衡(ほのかちゃん)の交換に応じようとする棟梁・宗盛(はなこちゃん)。
そこに教経(きわみくん)が現れ、重衡の「交渉には応じるな」との言葉を伝える。
命がけで戦い散っていった平家郎党のためにも、みな戦いを続けることを決意する。
――――落ち着け。
ノリとその場の空気で、じぶんたち多数の人命よりも平家の名誉を優先するんじゃないよ、と現代人としては言いたくなるのですが。
なぜ滅亡という完全なるバッドエンドを選ぶんだ。
『桜嵐記』のれいこちゃん(楠木正儀)みたいに作中でつっこんでくれる人いないからねぇ……。
たまちゃん(楠木正行)の死に方も、「命より大事なもの」「歴史の流れの中に」みたいなわかるようなわからんような感じではあった。(ごめん、アレみんなわかった?私最後までわかるようなわからんようなだった)
あれをバッドエンドと思うのは現代人の感覚なのかもしれない。
知盛(ひとこ)が「神器を渡したら死んでいった者たちが浮かばれぬ」と言ったのにびっくりしたけど、これはむしろ自分のことなんだろうな。直前で息子の知章(みそまる)を亡くしたから。知章が生きていたら、もしかしたら平家滅亡の道は選ばなかったのかも……と感じた。
とはいえ、三種の神器を渡したり、降伏したら許されるかというとわからない。
三種の神器が源氏に渡ったら「錦の御旗」も源氏に行くってことなのかなぁと解釈してるのですが。
その場合、安徳天皇はどうなるんだろう。神器といっしょに源氏にはいかないよね?廃帝になるのかな。譲位を促して、源氏が帝を擁立するんだろうか。

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