『宝塚物語』を読んだんだ

雑誌・書籍

葦原邦子さんの『宝塚物語』を読みましたよ。イラストは中原淳一氏の手になるもの。

レトロに甘やかな少女小説です。
材を、昔のタカラジェンヌにとっています。
(ジェンヌさんのお名前は一部変えていたり、そのままだったり)

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物語のモデルとなったのは、春日野八千代さん・八千草薫さん・淡島千景さん・有馬稲子さんらそうそうたる人たち。
と言っても、私は彼女らを名前以上には知らないので、このスターさんらを知っていて憧れた人たちなら、さぞ楽しくあるいは切なくこの物語を読んだことだろうと思います。
公演の裏話にも、懐かしさをおぼえることでしょう。

文章は、吉屋信子氏の『花物語』さながら。
うっとりするようなこそばゆいような……。
たとえばこんな風に。

 甘い花の香がそこはかとなくただよって来るこの白いテラスの情景は、宝塚の佳人春日八千代さんを語るには、何てふさわしいんでしょう。
 語り手のKさんの白い額が、心もち蒼く澄んで見えるのは、お庭の芝生のせいでしょうか?
 私は遠い昔を想い出している様子のKさんの表情を、きれいだナと思ってついじっと見つめてしまいました。

ジェンヌさんらのセリフにも時代が感じられます。
当時の流行り言葉かな?

「小父さん小父さん!! どう? この靴、一寸シャア(洒落ていると云う意味)でしょ?」

シャアかぁ……。
面白いから真似して使ってみたくなるけど、まず通じないな。

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