『風の次郎吉 ―大江戸夜飛翔―』感想・5

花組,専科

活動弁士のふみかさんが現れ、「活動写真」の鼠小僧が上映される。
あの大仰な物言いの中、スクリーン(というか幕)が上げられ、舞台上で鼠小僧が繰り広げられる。
目明しのあやめ役のべーちゃんが、活動写真風のこれまた大仰なセリフ回しを引き継ぎ、無声映画世界から舞台へとスムーズな移行がおこなわれる。

ここが見事。

ふみかさんもべーちゃんもやはり芝居がいい。
普通の演技じゃダメで、活動弁士風から時代劇らしい大仰なセリフ回し、そして宝塚の舞台に馴染むようにと、グラデーションのように、芝居のトーンを変えていく。

とてもいい導入部。
加えて、派手なプロローグのダンスがあるから観客が盛り上がらないわけがない。

みっちゃんすげー!
瀬戸くんかっけー!
ゆずかれーちゃん美しー!

なお、うちの姉はみっちゃんのオーラにやられ、目が潰れかけ、今までのオサレな人認識を全力で改め謝罪しておりました。
いかにオーラがすごくてもオフのオサレ感は変わらん気もするが……。

なお、最終的には瀬戸くんオチした模様。

ゆずかれーちゃんの、やけに背を低くしたダンスがかっこいいです。
今回悪人メンバー寄り(だけど、「ただし、同情の余地もある」と言われるポジション)だから、その雰囲気も含めてるのかな。
そして今日も漁網のように客席を釣っておるな、ぐぬぬぬ、前方の人がうらやましい……とエア・ハンカチを噛みしめました。
(当選した最前列チケットを姉に譲った私は、あり得ない善人だと思う)

ああ、ところでダンスや殺陣にかぎらずやけに白の短パン(着物の下に履いてる)が見えるのはサービスなんですか。
時代劇における「キャー、●●様のおフン(ふんどし)よー!」的な。
そこはいらんけど。

瀬戸くんはますます男ぶりに磨きがおかかりになって……。
なんちゃって時代劇の着流し・長髪が殺人的に似合うったら。

約1年前、『New Wave! -花-』の瀬戸くんに「なにかが足りない……けどなにが足りないのかわからない」と歯がゆい思いをしていたのですが、最近はそれを思わなくなりました。
結局足りないものがなんだったのかわからないままなのですが、とにかく瀬戸くんは大きくなった。
この1年で全体的に存在感が増した。

これが「男役10年」ってことなのかな。

みっちゃんは芸の確かさはそのままに、なんか若返った?
えっと、トップ決定が発表されたそのオーラで光を飛ばしてる?
女優ライトを自家発光してるみたいな感じ? (意味不明)

主演の歌がうまいというのはやはりいいものです。
耳に心地よく、ときに圧倒され、ときに聞き惚れます。

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