蘭蘭『ファントム』新公感想・2

2021-02-11花組公演感想,花組

私がなんで花の新公を観たかというとそりゃー真瀬のキャリエールを観たかったからですよ。
だってふつうに期待できるし。
結果、大満足でございました。

ものすごい安定感。
芝居も歌もいい。
歌がずがん! と響いてくるので「あ、キャリエールってこんなに歌ってたんだ…」と思いました。ビストロの場面とかね。
いまっちさんブラボー。

真瀬のキャリエールは繊細で優しいつくりでした。
「小心者ゆえに自分が父親だと名乗り出られなかった」というのがすごく伝わる。
今まで私が観たキャストの中で一番「小心者」感がありました。

その小心なところはあらゆる人を思いやってるからなのかな。
エリックのことだけでなく、オペラ座の人々に対しても、シャンドン伯爵に対しても、新しくオペラ座にやってきて自分を追いだした人たちに対してすらも優しい。
「幽霊からの手紙」をアラン・ショレに渡すところで、彼にすら優しさをみせてるように思えたんです。

誰にでも優しく、あらゆる方面に気を使っていて、それゆえに強く出られない。
「仕方のないことなんだ」というセリフがすごくしっくりくる。
そしてこの「いい人」っぷり、小心者っぷりがベラドーヴァとエリックの悲劇を招いたんだろうな、と妙にしっくりきました。
あらゆる方面を立てようとし全ての人を満たそうとした結果、八方ふさがりを招いたんだ。

キャリエールが今でもベラドーヴァを愛しているのはとても伝わる。
彼女のことを語るときの瞳が夢をみているようでした。

親子銀橋は芝居ももちろんすごくいいけど、なんたって2人とも歌えるから。
感情が歌のちからを得て強く届く。
客席の拍手が鳴りやまないかと思うほどに。

最後にエリックが捕らわれる場面。
ものすごくおろおろわたわたしていて、逡巡しまくっていて、そんな彼がエリックに「約束だろう」と言われて撃とうとするまでのところが流れがまた「小心者」っぷりがみえてよかったです。
「気でも狂ったのか!」がこれまたものすごくしっくりくる。
そりゃ、あんな「いい人」が銃をとったら誰でもびっくりするわ。

そしてエリックを手にかけたあとずっと放心してましたね。
視線がうつろでした。
このあとの彼がどうなるか不安になるほどに。

真瀬のキャリエールはほんとによかったです。
始まる前から期待値も高くて大変だったでしょうがさらりとこなしてくれたように見えました。

再び、いまっちさんブラボー。

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