『万華鏡百景色』感想・2

現代~江戸時代

『万華鏡百景色』は最初からショーに引き込まれました。

花魁の美しさ、辛い浮世の陰り、付喪神、物の怪たちといった尋常ならざる舞台装置。
暗さと華やかさのあんばいがとても好みなんですよね。

そしてちなつ演じる万華鏡の付喪神が「いる」ことの重さを見せる。

ちなつには重力や引力のようなものを感じます。
静的な在り方をしても、決して影が薄くはない。
ずっしりとした胆力が必要になりそうで、それはなまじかな舞台経験では得られないものではないでしょう。

付喪神たちが傘(花火のようでもある)から覗かせる顔もいい。それぞれの骨董品の色やにおいを出そうとしているのを感じます。
路線(新公主演・ヒロイン済み)が並ぶ付喪神の中に、なにげに入ってる一乃凛ちゃん、すごいな。

骨董屋のみとさんがあーさ主演の『義経~』にいそうな服をお召しでしたね。
(使いまわしてるかもしれないが、ビジュアル的な細かいところは覚えるのが苦手でよくわからない……)

れいこちゃんの美しすぎる花火師は眼福。
歌声の低音も冴えます。

花火師の恋人の花魁・海ちゃんも華やかな衣装が似合う。
花魁の薄幸が似合う美しさですよね。
当代一の花魁としての品も格もあるのはベテラン娘役ならではでしょうか。

じっさいのところ、裏長家住まいの花火師と当代一の花魁が恋に落ちるのって難しいと思うんだけど、2人は幼なじみで、花魁は貧しさのあまり売られたとかなのかな。
(花火師は高級な花魁なんて買えないでしょうし出会える気がしない)

花魁が若くて格が低い頃に…とも思ったけど、そもそも当代一の花魁が席を置くような店に長屋住まいの花火師は入れまい。店の格が違うと思うのよ。
なんなら河岸から違いそう。
過去も想像したくなる、麗しい2人でした。

明治時代

点灯夫の唄のおだちんはがらりと時代の移り変わりを見せる。
ザンギリ頭で時代の先端を行く、ちょっとイキってる感じが面白い。

今回、おだちんは付喪神のほかにいろんな役で出ますが、ものすごくスタアさんだなと。
華やぎが増して、見せ方も上手くなったように感じました。

場面は変わって芥川の『鹿鳴館』の世界を背負ったれいこちゃんや海ちゃんたち。
日本を舞台にしながら、軍服やドレス姿の華やかさも見られてお得です。れいこちゃんは「東京」を舞台にしながらフランス人としての登場だし。
栗ちゃん、こういう場面の変化も上手いなぁ。

鹿鳴館に招かれた外国人に「ハリボテ」「猿真似」「くだらない茶番」とそしられる毒もありつつ、日本人には「猿真似とたとえ誹られようと外つ国に扉開け漕ぎだす明日へ」という強さがある。
しかし、「咲いては散りゆく花火のように」と締め、やはり毒を感じさせるのである。

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