宙組『エリザベート』感想・3

2020-12-26宙組公演感想,宙組

宙組大劇場公演『エリザベート』初日(7月22日(金)15時公演)に引き続き、翌23日(土)11時公演を観てきました。

●この日は月組のカチャ・みやるり・もっくんがご観劇。

2幕初めにはルキーニ愛ちゃんが「美女」を撮影。
3人は上手側に座っていたので「フラッシュ届くかな」と言いながら例の「ハトが出ますよ」を。
彼女らが座っていたあたり、2本ほど腕が伸びているのが見えたんですが、ピースでもしてたのかな?

●今回の『エリザベート』は、私はやはりみりおんシシィに惹きつけられます。
宝塚版なので当然主役はトート閣下であるにも関わらず、シシィが主役に見えます。
初日を観て思った、はにかみ屋だった少女時代から一定の勝利を得るまでの性格付けがすごく腑に落ちるもので、「ああ、シシィとはこういう人だったのか」と納得できるものだったためだと思います。

歴代シシィは濃度の差こそあれ性質的に詩<<乗馬に見えましたが、みりおんシシィは詩>>乗馬に見えます。
心を解放するために詩があるように、自分が見る夢と同じ世界へ誘ってくれる乗馬も愛しているのではないかと。
運動のためではなく、ロマンのための乗馬のイメージです。

・今日は初夜の翌朝の「あなたは私を見殺しにするのね」に泣きそうになりました。

過去のシシィは、シシィが無作法ゆえのわがままに見えることも多かったんです(もちろん全員がというわけではありませんが)。
皇后の務めや宮廷のしきたりもなにも知らずに結婚したのかと言いたくなるほどに。

今回はわがままというより、ひたすら傷ついた少女に見えました。
「馬に乗ります」は彼女の活発さゆえの言葉ではなく、宮廷からの逃避を願ってのこと。
それを拒まれ、自分の保護者とたのんだ夫のフランツにも裏切られ、まだ少女であるシシィにはなすすべもない。
ただ傷つくほかないその無力さがいたいけで、彼女の嫁ぎ先が王家でなければ幸せになれたのではないかと思いました。

・初日も印象深かったハンガリー訪問。

「冷ややかというか、少し突き放しているように感じられました。」と書きましたが、これは正確ではないです。(書いたの自分だけど)
ハンガリー民衆の熱狂に困惑しているように感じました。
自分のしたことの成果が出たわけだけれど、反応の大きさを受け止められていないように見えます。
それがまた、コミュ障気味なシシィらしいなぁ、と。
ハンガリーは好きでも、根本的に人に見られるの嫌いだしさ。

・みりおんシシィは「私が踊る時」が一番美しく見えました。

・シシィの役作りは第1幕で衝撃を受けたのですが、残念ながら第2幕は第1幕ほどではありません。
決して悪くはないのですが、歴代シシィとの大きな違いは見られなかったかな。
もちろん丁寧な芝居といい歌を聴かせてくれますから文句をいう筋はないし、第1幕の解釈が鮮やかすぎて第2幕のハードルを私が勝手に上げてしまったためでしょう。

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