黒沢中尉の白鳥かすが氏は悪役。
日本人官僚の融通のきかなさ、形式主義を見せて豊太郎を窮地に追い込む役。
外見がきれいなのが良かったのと、タチの悪い小役人くささが上手かったなぁ、と思う。
もうこの小役人感がいやらしくて、ねぇ!
じわーっと、ねっとりとくるんだ。
言うこと為すことは典型的なんだけど、ウザったいことに変わりなし。
しかし脚本・演出は景子センセイだからなー。
最後の最後で悪役になりきらないんだよね。
「日本のために」とか言って豊太郎と和解しちゃう。ああ景子先生テイスト。
なんか腰砕け。
窮地に追い込む人がいる一方で、救いの手を差し出す人も。
天方伯爵の星原さん。
舞踏会の場面で豊太郎の名をつぶやきながらにやっと笑みを漏らすところが好きです。
この笑い方の臭みが「あーーー、専科さんだなぁ」って感じですわ。
親日派のドクトル・ヴィーゼは紫峰七海氏。
渋ーーーく、出すぎず、丁寧に必要な芝居をきっちりとしてる感じ。
そのきっちり感がなんだか不思議だった。でもなにが不思議なのかは自分でもよく整理できないんだけど…。
ジェンヌって舞台人だし、役者だから、極端で強烈な自己主張とか顕示欲があるものだろうと思うんだけど、ぱっと見それを感じなかったからなのかなぁ。
私が感じなかっただけな可能性はあるけど。
さて、これまでぽつぽつと『舞姫』感想を書いてまいりました。
でもね。
ぶっちゃけ一番印象に残ったのは舞名里音嬢…。マチルダ嬢。
ありゃ反則だろ、ってな感じだ。
ちょっとしゃべるだけでそのセリフまわしが面白すぎて、なぁ。
見た目はすっごくかわいいんですけども。踊りもきれいなんですけれども。
なのに、声を出すと一気に「ヲイヲイヲイ」な感じに。
次は何を言い出すのかと息をつめて聞いてしまう。
そして場面の意味とか他のジェンヌの演技よりも、里音嬢の演技が気になってしまう。
破壊力満点です。
おそろしい。
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