愛音版『舞姫』を見たんだ

花組公演感想,花組

時代劇専門チャンネル【華麗なる宝塚歌劇の世界~Season4~】で放送された『舞姫』を見ました。
2007年に上演されたみわっち主演、ヒロインがすみ花のものです。
懐かしいわ!

『舞姫』 | 花組 | 宝塚バウホール | 宝塚歌劇 | 公式HP

[解 説]  明治の日本文学の第一人者、森鷗外の代表作「舞姫」のミュージカル化。愛する女性と祖国との板ばさみの中、悲劇へと向かっていく主人公の心の葛藤を描く。  日本が近代国家建設に向け、西洋の大国に懸命に追いつこうとしていた明治の時代。武家の長男として生まれ、幼い頃から厳しく育てられてきた太田豊太郎は、周りの期待を一身に浴びエリート官僚としてベルリンに留学することとなる。 …

ひさびさに見ましたが、1幕ラストの母上の死はほんと辛いです。
国費留学した先のベルリンで”踊り子ふぜい”(=エリス)との恋に”うつつを抜かす”主人公=豊太郎を諫めるために自死するんですが、この価値観がいかにも明治時代で。
追い詰められる主人公の姿に心がひりつきます。

18才になりたての踊り子・エリスは純真で、異国人である豊太郎にも明るく接する。
異国の地で外国人差別もあり、また日本人の上司にも自分を厭う者が少なからぬ中でエリスの存在は豊太郎にとってどれほどのものであったことか。
それでも、日本を背負う官僚であり、武家の長男として生まれた豊太郎にはエリスはふさわしからぬ相手。

憎まれ役を買ってくれる親友・相沢(まっつ)の言葉「彼女は君を愛しているが、理解はできない」。
これもまた心に響く。
エリスは若さと純真さゆえに愛さえあればと思うけれど、実際のところ自分を理解できない相手と幸せになるのは難しい。
現に豊太郎は免官され、母を失い、不幸に陥った。
相沢のいなかった豊太郎ともいうべき画家・原芳次郎(みつる)は客死したわけです。

なにせ宝塚版なので、原作よりもかなり女性が主役が感情移入しやすく描いてあります。
みわっちも白い男役さんで、凛々しく、国家への義務と個人の愛のはざまで懊悩していました。
原作からの最大の改変・エリスの想像妊娠も、初演時は「なんだそりゃ!」という感じでしたが、子どもがいないだけ不幸な存在が1人減る、ということなのかなと。

16年の時を経て再演されたほのかちゃん版はまた違った印象になってるのかな。
同じ役どころであろう「原芳次郎」(みつる)が「馳芳次郎」(だいや)になったのも気になるところです。

3