・新場面の「ザッシェルの店」。
マリーと会えなくなったルドルフが荒れる。
ずっと涼やかに衣装を着こなしていたルドルフが、心の平穏を失ったために開襟です。ありがとうございます。
髪も乱れ表情も険しく、マリーが憧れていた端正な王子様ぶりから打って変わっての荒々しさ。しかしそれもまた美しいのが宝塚でありかれーちゃんである。
駆けつけてきたマリーに会って、すがるような目の切なさもまた美しい。
精神のもろさが出たルドルフに対し「帰りません」のまどかマリーの包容力が素晴らしいんですよね。
「男性と逢引している」との情報からルドルフと引き離されたもののルドルフのもとに駆けつける情熱や、この強さが。
10歳以上年下の若い娘なのに、ルドルフを守るかのようなマリー。
まどかはトップ娘役としてキャリアがあるし、そもそもフェアリー系の持ち味でもない。
その強さが生きたマリーで、「帰りません」の母性としてしっくりきました。
「お前を清らかなままでおこうとした誓いを自ら破ろう」のお姫様抱っこへの流れもとても自然でした。
ほら、あんまり早くやっちゃうと単にこらえ性のない下半身で生きてる男になっちゃうしさ……。
・ほのかちゃん演じるブラットフィッシュ、面白い役ですよね。
庶民的な感じを出しつつもほのかちゃんの品の良さも出ている。
ブラットフィッシュは御者だから身分はない。
とはいえ皇太子のお側近く仕えているんだから、あまり品がないのも違うと思うのよ。
音楽が大好きで華があり、気が利いて細々と用をこなす。
卑屈になるでもなく、気の置けない友人のような雰囲気がとてもいいな。
・ルドルフの副官・モーリス大尉はまるくん。
けっこうセリフがある。さすがに上手い。
皇室の枠からはみ出すルドルフ皇太子にふりまわされる気の毒な役、として作っていた。
かれの学年の若さ、見た目の若さに合ってましたね。
・『うたかたの恋』は娘役さん大活躍の作品。
大人の女性も歌姫も可憐なご令嬢もと、持ち味にあう役柄がたくさん。
娘役祭りと言えなくもないかもしれない。
ルドルフのいとこで女性関係の手引きをするラリッシュ伯爵夫人のことのちゃんは世慣れた大人の女性。
めちゃくちゃ上手い。
「もう一人の女は……」のあたりの言い回しや、従僕・ロシェックから封筒(マリーを手引きしたお礼が入ってるんでしょう)を受け取るときの慣れた感じが、小娘ではないスレた感じもあってさすがすぎる。
ハンナのみくりん、可愛い。
ちょっと夢白ちゃん似?
ステファニーの侍女・エヴァ役のみこちゃんはセリフが少なくても表情が素敵。
芝居心がある娘役さんだわ。
もっと大きな役で見たい。
シュラット夫人の糸ちゃん、マリンカみおんちゃん、ミッツィすみれちゃん。
それぞれに役に合った歌で美声を響かせてくれて耳が幸せ。
かがりりのエリザベートは娘役人生の集大成でしたね。
気品と、ルドルフにつながる精神の繊細さと。
彼女の今後に幸あれ。
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