・ロナンの妹・ソレーヌ役のほのかは、今回も喝采を送りたい出来でした。
ほのかは歌の上手さが抜きんでているのと、役幅の広さが魅力の娘役です。
そりゃもう、おっちょこちょいなヒロイン系町娘も、貴族のお姫様も、成金系の品のないマダムもなんでもできる。
そんなほのかの今回の役は娼婦。
ソレーヌは父を殺された兄・ロナンに故郷に残され、兄を追ってパリにきたものの食べるために娼婦になった。
初演・月組版(花陽・晴音)はあくまで娘役らしい可愛さ、いじらしさを残した役作りだったが、ほのかは色を変えてきた。
「夜のプリンセス」を歌うソレーヌに凄味がある。
ほのかソレーヌは、娼婦になったやるせなさや憎しみを背負い、狂気に片足をつっこんでいる。
なぜ彼女が夜に生きねばならないのか。
顔を汚したソレーヌには、娼婦であるがゆえの病も得たのではないかと思うほどの怖さがある。そこまでやるか。
ソレーヌもダントン達との出会いやロナンとの再会によって昼の女になる。
カフェで働きだした彼女は快活そうで、でもあくまで下町のざっくりした娘であることが髪型や動きなどでわかる。ふつうの「町娘」にはなりきらない翳り。
役の作り方がほんとに上手くて、幅広いなぁと今回も感心した。
・「乾杯だモテないこの俺に」と歌うダントン。
おピー様はおモテになるやろ……という気持ちと、このダントンならまぁ……という気持ちのせめぎ合いである。
ぴーすけはけっして大柄ではないのに、男性的な重さを見せてくるのがさすがです。
・カミーユ・デムーランを演じるありちゃん、ちょっとだけ『赤と黒』の役に似てる。帽子のせいかな。
印刷所でロナンと言い争う場面では、正しいことを言っていても、どうしても上から目線みたいになってしまってロナンに伝わりにくい……そういうスノッブさが出ていた。
・極美くんのロベスピエールは将来ヤバイことになりそうな気配がある。
ようするに大量粛清ですが。
自分の願う正義、理想が確固としてありそうで、でもそれは一歩間違うと危うい。
2幕の客席通路を使っての登場から、球戯場の場面への流れは興奮しますね。
空手で鍛えた体幹か、しっかりとした踊りでした。
ロベスピエールは水乃ちゃん(役名つけてあげればいいのに)とは恋仲なんですよね?
いつもながらいい並びです。
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