『ディミトリ』東京新公を見たんだ・2

星組公演感想,星組

1月19日にライブ配信で見た『ディミトリ』東京新人公演の感想の続き。
新公担当演出家は熊倉センセイ。
きわみくんのバウのお人ですね。

ヒロイン・ルスダン・ひより

今回新公ヒロインに抜擢された藍羽ひよりちゃんは107期生、研2。
32番で入団と成績はあまり芳しくなく……なのもあって、どこまで期待したものかと思っていましたが、良い意味で予想をくつがえしてきました!

ニューヒロイン誕生だわ!!

ルスダンを演じたのひよりちゃんは正面顔だけじゃなく横顔も美しいのがいいですよね。
娘役は正面を向いた男役を横や斜めから見つめるシーンが多いから横顔がきれいだとヒロイン度がアップする。

お花様や華ちゃんなど歴代のいろんなヒロインを思い出す顔。
しろきみちゃんにもちょっと似てる。
声も可愛いしね。
要するにヅカヒロイン顔と言っていいのでしょう。

でもひよりちゃんの良さはなんといっても演技力。
バテシバに向けるルスダンの表情がすごくいい。
少女らしい潔癖さとか見ている世界の狭さとかが感じられて、でもどこか愛おしい。
ギオルギ王は大好きなお兄ちゃんだもの。

そこから運命が一転し、女王になったルスダンの高貴さも見物。
また、ラストシーンで泣きながらでもセリフがぶれないのもいい。
研2とは思えない貫禄がありました。

少女時代も女王になってからも無理がないから、いずれは『エリザベート』のシシィを見たい娘役さんです。

2番手・ジャラルッディーン・大希くん

文化祭から背が高くて芝居と歌が上手いと評判だった大希くん。
ようやくかれにぴったりの役が来ました!

ホラズムの帝王・ジャラルッディーン様。

ジョージア王国を窮地に陥れつつも、ディミトリの友となる懐深い人物です。

大希くんは帝王の雰囲気あるんですよね。
役に合ってるのかメイクがとてもよい。ヒゲも似合う。
悠揚迫らぬ動きもいい。

本公演でもジャラルッディーン様の登場は遅く、新公では人が足りないので序盤はいろいろバイトをしておられました。
民衆とか兵士とか、いろいろ。

満を持して登場した大希ジャラルッディーン様は、ディミトリの美貌をたたえる表情がめっちゃ嬉しそうなのでした。

「どうした美しき王子よ」と語るジャラルッディーン様。
目じりが下がっとるわ!
どんだけ期待どおりだったんだよ!!

せおっちだと「ディミトリの危機にスーパーヒーロー登場」な感じがしたのに、大希くんだとプラス色好み感があるのね。

アン・ナサウィーの「わが君は美しき若者に目がないですから」のセリフの信憑性が凄かったわ……。
本役・せおっちよりそういう方向での雰囲気がありましたなぁ……。
美少年度はあまとよりこっちゃんのほうがあるというのに。

トビリシ奪還の後の悔しさや怒りの表情もとてもよかった。
ジャラルッディーン様「余の友なる王子よ」というが友愛は薄そうなんだよね。
帝王と寵愛する王子の関係っぽい。

それでも自らの腕の中で最期を迎えるディミトリに宛てた言葉「王配」には彼の優しさや大きさが見えました。

3番手・アヴァク・稀惺くん

ありちゃんが演じるアヴァク・ザカリアンを演じたのは稀惺くん。
この作品の一番の「悪役」といってもいいでしょうか。
それでも最後は改心するし、やりがいのある役です。

稀惺くんのアヴァクも上手かったですね。
歌も芝居も充分。

稀惺くんのアヴァクはぱっと見たところ、闇は少なめで真っ当なことを言ってる感じがある。
冷え冷えとした雰囲気もある。
ただ、その一見まともそうな人なだけに、ディミトリたちを追い落とす怖さがありましたね。

いかにもな悪役だったら「ディミトリもルスダンもミヘイルも、かれの罠にかからないで!気づいて!!」って思うんだけど、なにせ一見まともだから。
「もしかして、アヴァクの考えのほうが正しいのでは?」と思ってしまう。
しみじみと怖かったです。

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